春季神奈川県大会、決勝の東海大相模高戦で先発も2回途中6失点で降板した及川
春季神奈川県大会は5月3日、保土ヶ谷球場で決勝が行われ、東海大相模高が14対13で横浜高を下し、2年ぶりの優勝を決めた。
人気校による頂上決戦ということで、徹夜組が出るほどの大フィーバー。朝7時の時点で約1000人が並び、試合開始4時間前の9時に開門。外野芝生席も開放される異様なムードの中で行われた。
横浜高・平田徹監督は「春は育てながら勝つ。チームを大きく伸ばすため、少しでも可能性をふくらませたい」と、スタメンに1年生4人を起用。しかも、バッテリーも左腕・
及川雅貴、吉原大稀と新入生を抜てきした。
及川は侍ジャパンU-15代表のエースとして昨年8月の「第3回WBSCワールドカップ」(福島県いわき市)で、準優勝に導いたサウスポー。
「世代No.1」の呼び声が高く、高校の進学先も注目されていたが「プロを目指しているので、その点で選びました」と、神奈川の名門・横浜高に入学している。
県大会初戦となった2回戦から背番号25でベンチ入り。3回戦もユニフォームを着たが、4回戦、準々決勝、準決勝は「オーバーワーク。壊してはいけないので、休養をさせながら、細心の注意を払ってきた」(平田監督)と、メンバーから外れて調整した。そして東海大相模高との大一番で復帰すると、いきなり先発を任された。
「高校野球はレベルが高いと実感した。今日の調子は良いほうでした。それが、あの結果です」
2回途中6失点で降板。この回、後続の投手も打ち込まれ、一挙10失点と相手に主導権を与えてしまった。試合中盤から本来のレギュラーを投入し、終盤の追い上げで1点差まで詰め寄るも、あと一歩及ばなかった。
「監督から『ストレート中心に攻めていきなさい』と言われていましたが、ボール1個分中に入ったボールが多くて、少しでも甘くなると打たれてしまう。甘くないなと思った」
洗礼を浴びた1年生を、捕手である主将・
福永奨(3年)はこう言う。
「夏(の県大会)は1年生の力がないと勝ち上がれない。相手が東海大相模で、しかもこの球場の雰囲気。こういう経験はメンバーでないとできない。よく頑張ってくれたと思う」
中学時代の最速は138キロだったが、現在は「140キロは行っている」と成長を実感。タテ変化のスライダーに自信を持っており、カーブ、チェンジアップを操る。
「球自体が軽いので、体重を増やして重くし、制球も磨きたい」
公式戦初登板はほろ苦いものとなったが、四死球はなく、自滅ではないだけに、次につながる内容だったと言える。
「この反省を生かしたい」
及川はしっかり前を向いて、球場を後にした。
文=岡本朋祐 写真=大賀章好