
福浦は自らアピールし、ビデオ判定に持ち込んだ
プロ野球の歴史の中で、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は5月13日だ。
開幕は二軍スタートながら現在は
井口資仁との併用でDHや一塁に入り、5月11日の試合では四番打者として4打数2安打をマークした
ロッテの“生きる伝説”
福浦和也。通算2000安打に向け、少しずつ少しずつ近づいている41歳のベテランだ。
2010年5月13日は、おそらく福浦にとっても思い出深い試合ではないだろうか。
この年、一塁でポジションの重なる
金泰均の加入もあって、当初はDHか代打起用のケースも多く、セの主催でDHのなかった、この日の横浜戦(横浜)もベンチスタートとなった。なお、当時交流戦は今より試合数が多く、スタートも5月12日からと早かった。
1点を追う6回表だった。満塁の場面に代打で登場した福浦の一打は、右翼ポール際の大飛球。ファウルのジャッジだったが、福浦自ら「ポールを巻いたと思うんですが」とアピールし、ビデオ判定となった。結果は判定が覆っての代打逆転満塁ホームランだ。
「満塁というチャンスで代打に立たせていただいて、結果を出せてよかった」と謙虚な言葉で喜びを語った福浦。ふつうならチャンスの少なさにくさってしまうところだが、福浦は真摯な姿勢を貫き、その後、指名打者のスタメンに定着。終盤は四番を打つこともあった。最終的には規定打席未満ながら打率.295、本塁打は6年ぶりの2ケタとなる13本塁打をマーク。自身初のベストナインを指名打者で受賞した。
まさに、その努力を野球の神様は見ていた、ということだろう。来季以降の達成と思われている2000安打だが、もしや、もしやのサプライズもあるかもしれない……。
写真=内田孝治