
本塁打の次の打席の写真。スピーカーの高さが分かるだろう。あと編集部的にびっくりはお客さん。外野席まで結構入っている
プロ野球の歴史の中で、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は6月6日だ。
ある意味、歴史を変えた一打と言えるだろう。1990年6月6日、東京ドームで行われた
日本ハム─近鉄戦だ。4回表、無死走者なしから日本ハムの左腕・
角盈男の4球目を近鉄・
ブライアントがフルスイングでたたくと、高々と舞い上がり、東京ドーム天井に吊り下げられている地上44.5メートルの集合スピーカーを直撃したのだ。これで東京ドームの特別ルールが適用され、史上初の認定ホームランとなった。
東京ドームの天井は、過去の特大ホームランをコンピュータでシミュレーションし、絶対に当たらない設計にしていた。まさに常識破りの一発だ。
センターの
嶋田信敏はブライアントが打球を放った瞬間、一度目を切って一目散にフェンス方向に走った。「ゴーン」という大きな音で振り向くと球が前方に落ちていて、「何が何だから分からなかった」という。ちなみに審判も最初は「フェア」のジャッジをし、その後で認定ホームランとしている。
実はブライアント。前日にも東京ドーム一塁後方の天井に当て、このときは落ちてきた打球をセカンドが捕って二飛となっていた。その後、「ブライアントならいつか天井に当てるかも」とジョーク交じりの話題にはなっていたが、まさか翌日に現実になるとは。ブライアント自身も「まさか当たるとは思わなかった。スコアボードに当てたら賞金が出るのだから、次からはあれも賞金を出してほしいよ」とご機嫌だった。
ただ、前年の89年は49本塁打で優勝に貢献したブライアントだったが、この年は29本とややトーンダウン。しかも、三振はリーグ最多の198だった。
写真=BBM