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「教員養成」と「勝利」に意欲を燃やす国際武道大・岩井美樹監督

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立大との大学選手権決勝、国際武道大・岩井監督は一塁ベンチ前で選手に指示を出す


『大学野球2017春季リーグ戦決算号』(週刊ベースボール6月27日号増刊)は6月21日に発売される。大学選手権決勝では惜しくも敗れたとはいえ、国際武道大の戦いも見事であった。

 同大学を1989年から率いるのは岩井美樹監督(62歳)だ。銚子商高(千葉)では一塁手として、3年夏の甲子園で怪物・江川卓(元巨人)がいた作新学院高(栃木)に勝利。東海大では3年時に大学選手権優勝、4年時に準優勝。東海大監督としても8度の首都大学リーグ優勝、2度の神宮大会優勝に導いた名将であり、国際武道大では32度のリーグ制覇へ導いている超ベテラン指導者だ。

 国際武道大が所属する千葉県大学リーグは、群雄割拠の戦国時代だ。かつては全国大会の常連であった国際武道大も、最近は中央学院大、東京情報大、城西国際大の台頭により、神宮への道も険しいものとなった。

 今大会は11年ぶりとなる全国大会白星だったが、実は〝重い腰〟を上げていた。岩井監督は体育学科教授で、大学で7コマの授業を持ち、学生支援センター長と就職部長も兼務する激務下にある。監督就任以来「教員養成」に重点を置いてきた。

 多くの卒業生を、全国各地へ指導者として輩出したことから、ついに「勝ちたい」と、監督生活の集大成として、勝利への欲望も口にしたのだ。

 岩井監督は説明するまでもなく、大きな影響力がある。教え子が指揮する強豪校の有力選手を「入学してほしい」と言えば、世話になった身としては、首をタテに振らざるを得ない。それを強く感じていたからこそ、岩井監督は遠慮していた背景がある。

 しかし、苦笑いを浮かべながら「そろそろ、恩返ししても良いのでは……」と、大学4年間の人間教育に加えて、有力選手獲得へも積極的になったのである。

 今大会は2年生の活躍が目立った。2015年夏の甲子園、東海大相模で優勝を経験した磯網栄登(今大会敢闘賞)、四番・豊田寛に加えて、侍ジャパン高校代表・勝俣翔貴(2年・東海大菅生)らが入部。首位打者(打率.467)を獲得した赤木陸哉(作新学院)も2年生である。さらに1年生には昨夏、全国制覇を遂げた正捕手・鮎ケ瀬一也(作新学院)もおり、「甲子園で優勝したのが3人いると違う」と、岩井監督はその効果を口にする。

 2年生に対して、指揮官は「育成期間」を強調。結果が出なくても、ミスを重ねても我慢して起用してきた。岩井監督の座右の銘は『努力・忍耐・根性』だ。

「この3つがあれば、日本人は生きていける」

 育成を貫きながら〝銀メダル〟を手にした国際武道大。今回の準優勝を「最高の教材」として、悲願の初優勝を再び目指していく。
文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎

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