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楽天・岡島豪郎が好調な理由

 

優勝した2013年以来、好調なシーズンを送っている岡島


 楽天のエース・則本昂大もその存在の大きさを認める。「バイタリティーがすごい。この人が元気なことはチームにとって大きい」と。

 その男が岡島豪郎だ。ベンチでは大きな声でチームメートを鼓舞し、グラウンドでは気迫あふれるプレーで見る者を魅了する。楽天が優勝した2013年に捕手登録ながら打率.323とバットで欠かせぬ選手となり、外野で生きる道を見いだすと、翌年には外野手へと転向した。だが、その後は思うように成績が伸びず、15年はケガの影響もあり、出場数はわずか41。昨季も打撃不振に陥った。その間チームもBクラス。その存在の大きさは数字からも見て取れた。

 そして今季、打率は2割台後半から3割を維持し、三番も任されるなど、チーム躍進の立役者となっている。その要因に「これまではたくさんルーティンがあったんですけど、苦しくなってそれにとらわれないように、ぜんぶ外しました。なので今年はルーティンが一切ないです」ということを挙げる。

「ルーティンを決めていたときは、良かったときの自分に戻ろうと思っていたんですけど、今は一切思わない。思っても戻れないから、常に前を向いて、新しい自分を見つけようという感覚に変わりました」と精神面での変化が大きかったという。

 まだバッティングフォームも確立していないが、それもその日の自分に合った形を追求し、進化を求めるからこそ、だ。終始笑顔でインタビューに応える岡島が、このときだけは表情を引き締めた。「前に戻ろうとは思わないです。絶対」。

 6月30日現在、得点数30はチームで6位、25打点は同5位の成績だ。勝負強さはもちろん、岡島が出塁すれば、得点の確率は高くなる。それでも「あまり意識し過ぎても良くないと思うので、試合後に『出られて良かった』と思えればいいかな」と気負いはない。だからこそベンチでも笑顔でいられるのだろう。チーム同様13年以来の好調なシーズンを送っている岡島が、チームメート、そしてファンに笑顔を届ける。
文=阿部ちはる 写真=大泉謙也
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