
当時の指揮官は先日亡くなられた上田利治監督(左)。就任1年目だった
プロ野球の歴史の中で、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は7月5日だ。
いまでは女優の西崎あや、タレントの西崎莉麻の父親としてテレビに登場することが多くなったが、現役当時はトレンディーエースと呼ばれ、アイドルなみの人気があった
西崎幸広。1995年7月5日は、その西崎が
日本ハム時代にノーヒットノーランを達成した日だ。
記録達成の相手は、
西武(東京ドーム)。実は因縁の相手でもある。89年4月13日に7回まで完全に抑えながら
清原和博に本塁打を浴び、この95年4月25日にも7回まで無安打に抑えながら
デストラーデの平凡なセンターフライを大貝恭介が見失い、三塁打となって勝利も消えた試合もある。この日も試合終盤になって、どうしてもその2試合の記憶がよみがえったという。
それでも終わってみれば、完ぺきな投球だった。初回、三番の
ジャクソンに四球を与えると、あとはパーフェクト。12奪三振で「三度目の正直」の記録達成を果たした。
後日のインタビューで、この日の一番の記憶を「2人の娘の笑顔」と振り返った。
「試合の後、テレビ出演のハシゴをして家に帰ったのが、夜中の2時ごろ。でも、まだ小さかった子どもが起きて待っていてくれたんだ」
この試合、西崎のユニフォームのポケットには夫人から贈られたお守りが入っていた。まさに、家族とともにつかんだ大記録でもあった。
写真=BBM