大相撲で郷土力士を応援するように、プロ野球でも「出身地」は大きな意味を持つ。たとえひいきチームの選手でなくても、同郷ならば「応援してみよう」という気持ちになるのではないだろうか。
7月13日、静岡県静岡市の静岡草薙球場でフレッシュオールスターが開催された。当日は昼過ぎまで大雨で開催が危ぶまれたものの、夕方になると明るい日差しが戻り、雨交じりの中で試合はスタートした。県内外から集った1万人超の観客は色とりどりのユニフォーム姿。その中で一際大きな歓声を浴びていたのがイースタンの一員として「二番・左翼」でフル出場した西武・鈴木将平だ。
静岡市に隣接する富士市生まれで静岡高出身。甲子園には3度出場し、高校3年時には18歳以下の侍ジャパンに選出され、U-18アジア選手権優勝に貢献している。2017年のドラフト4位ルーキーである。
だが、ほろ苦い地元凱旋となってしまった。今回、同県出身として出場した桒原樹(常葉菊川高→
広島)、
堀内謙伍(静岡高→
楽天)はいずれも安打を放ち、投手の
小澤怜史(日大三島高→
ソフトバンク)は1イニングを無安打に抑える好投。それに対し、鈴木は4打数無安打1三振とバットで貢献することができなかった。「打ちたい気持ちが強過ぎて、結果に目がいってしまった」と反省の弁。
それでもプロのユニフォームを着て静岡に帰って来られたことに感慨もひとしおだったという。「地元の応援が分かって、うれしかった。次に帰ってくるときには、結果を残したい」と決意を新たにしていた。
俊足巧打の外野手。同じ左打ちは
栗山巧、
秋山翔吾などビッグネームがチーム内にそろう。越えるべき壁は高いが、まずは西武第二球場からメットライフドームでのデビューを目指す。そして数年後、成長した姿を地元・静岡のファンに披露したい。
文=富田 庸 写真=榎本郁也