
愛用するグラブについて独自の理論を展開する今永昇太
先日、
DeNAの今永昇太にグラブについて取材する機会があった。今季、8勝5敗はチームの勝ち頭(8月8日現在)。プロ2年目を迎え、堂々と先発ローテの軸を担う左腕だ。
そのインタビューで興味深かったのが、「僕は意外とグラブを持っている側の手が重要だと、最近気づき始めたんです」という言葉。
投手というのは、投げるほうの手や腕(右投げなら右手、左投げなら左手)のテークバックやリリースを気にするのが普通だろう。ところが左腕の今永は、グラブを持つ右手がピッチングにおいてポイントになっていると言う。
「実は右手の使い方が球速だったり、コントロール、フォーム全体のバランスにつながっているんです」
だから右手にはめるグラブ選びも疎かにできない、とロジカルに語る。
「例えばグラブが1センチ小さくなったり、雨で濡れてわずかに重くなったりするだけでピッチング自体が変わってくる。もしかしたら、グラブの色が違うだけでも変わってくるのかもしれません」
取材前、野手に比べれば投手のグラブへのこだわりはそれほど高くはないと思っていた。しかし、投球動作の中でこれほどグラブの存在が重要な要素だとは、想像していなかった。こだわり派の今永“らしい”一面が垣間見えた瞬間だった。
文=滝川和臣 写真=田中慎一郎