
さらに貯金を増やすことを誓う美馬
8月の後半になれば、先発投手が登板できるのは、残り数試合だ。タイトル争いも視野に入ってくる時期ではあるが、
楽天の
美馬学がこだわるのは、負けの数の少なさ、である。
プロ7年目の美馬がこれまで残した最大の貯金数は1。「いつも序盤は良くても後半は負け込んで、貯金ができていない」と悔しさをにじませる。そんな中、今季は8月24日時点で9勝5敗。4つの貯金を残している。「ちょっと貯金を吐き出してきている」とまだまだ気を引き締めるが、自己最多貯金までのカウントダウンは始まっている。
森山良二投手コーチが「美馬が一番、良い意味で予想外」と驚くほどの成長の要因は一体どこにあったのか。自己分析してもらうと、その進化の裏には見えない変化があった。
「これまではいつも全力投球だったので、結局体力がなくなったら終わり、という感じだった。ですが今はピンチのときにしっかり投げられるようにしている。逆に、全力で真っすぐ行くよりは、腕の振りの割に球が強い、というほうが打たれないのかなと」と「すべて全力で投げない」ようになったことが大きいという。
チームメートや、新加入の
岸孝之らと話す中で発見があったと話すが、そうやって自身を客観視することができるようになったのには、昨年の経験も大きく影響している。昨季は9勝9敗と貯金こそ作れなかったが、勝利数、登板数(26)、投球回(155)は自己最多だ。「去年しっかり1年間やって、今年を迎えられたっていうのが一番かなと思います」ということが、マウンド上での落ち着きへとつながった。
則本昂大、岸とともに先発3本柱を形成する美馬の活躍なくして、楽天の快進撃はあり得なかった。チームは今季初の6連敗などで、首位・
ソフトバンクに8.5ゲーム差をつけられはしたが、終盤戦で美馬の貯金数がますます大事になるのは変わらない。背番号31の投球はチーム浮沈の大きなカギになることは間違いない。
文=阿部ちはる 写真=高塩隆