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王貞治756号本塁打40周年記念企画

【王貞治756号本塁打(11)】“王キラー”安田の前に小休止(8月29日)

 

1977年、今から40年前、大げさではなく、日本中がプロ野球に熱狂した時期がある。王貞治のハンク・アーロンが持つ当時のメジャー最多記録通算755号本塁打への挑戦だ。アーロンはブレーブス、ブリュワーズで76年まで現役を続けたホームランバッターだが、その引退翌年に王が世界記録を狙うのも、面白いめぐり合わせではある。週刊ベースボールONLINEでは、9月3日、756号の世界新記録達成までのカウントダウンを振り返っていく。

「国民栄誉賞」新設の方針が決定


安田は王と対戦するときは「常に内角で攻めた。逃げたことはありません」と言い切る


 8月29日、王の自宅前の報道陣、さらにファンの数はさらに増えた。午前11時半、王が雑誌社の取材のため、車で出ると、その後を新聞社の車が追う。

「ストーブリーグじゃなくて、追っかけなんて初めてだよ。どんな些細なことでも細大もらさず取材しておかないとね。毎日紙面で競争だから……。早くこの騒動が終わってくれないかな。王さん、頼む、早く打って」

 記者の1人。笑いながらだったが、本音だろう。

 神宮での29日のヤクルト戦は死闘となった。ヤクルト先発は前夜リリーフ登板した安田猛巨人がのち長嶋茂雄監督の担当広報となる小俣進だった。安田は、「絶対に逃げない」と“打倒・王”に執念を燃やし、4打数無安打に抑え込んだ。

 しかし、その反動もあってか、先発の小俣に押し出し四球、同じくリリーフ投手の西本聖にダメ押し2ランを浴びたのが響き、試合は5対2で巨人の勝利。

 記録挑戦の舞台は、大洋3連戦、本拠地・後楽園へと移った。

 なお、この日、政府は懸案だった「国民栄誉賞」を新設する方針を決めた。もちろん、王のためである。

<次回に続く>

写真=BBM
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