現地時間9月1日から始まる「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」。清宮幸太郎を主将とした“高校生ジャパン”がカナダで世界を相手に奮闘を繰り広げる。悲願の世界一へ――。若きサムライたちの戦いを追う。 選手ミーティングの提案

“世界”を知る男でもある増田。打撃でも大きな期待がかかる
ついにもう一人の“経験者”が動いた。
8月29日、宿舎での全体ミーティングが終わると、
増田珠(横浜高3年)が「選手ミーティングしない?」と提案した。すると、主将・清宮幸太郎は「しよう!!」と快く応じたという。大会開幕まであと3日。22日の国内合宿から士気を高めてきたとはいえ、増田は危機感を感じていた。
「急造チームだからこそ、選手間でコミュニケーションを取っていかないといけない」
増田は中学3年時の2014年、U-15代表として「第2回IBAF 15Uワールドカップ」(メキシコ)に出場(2年生では
小園海斗が侍ジャパンを経験)。代表の中の3年生で今回のU-18との「連続代表」は増田のみ。つまり、この3年生世代で最も国際舞台を知る男といえる。清宮は2年前のU-18ワールドカップ(日本開催)を戦っており、3年生ではこの2人が「世界」を知る貴重な経験者なのである。
選手ミーティングでは約10分間、主将・清宮が自身の思いを話したという。
「まだまだ、だ! 一瞬、一瞬を大事にしていこう!!」
主将の熱い言葉に、19人のメンバーは強く反応し、結束力がより高まったという。
増田は言う。
「キヨ(清宮)は真面目ですから。キヨが一人にならないように、声と元気で皆を引っ張っていきたい」
笑顔がトレードマークの増田。“癒し系”が絶対的チームリーダーを支えていく、最高の形が出来上がった。
<次回に続く>
文=岡本朋祐 写真=BBM