
張本選手は茂木とともに好きな選手として名前を挙げる藤平とがっちり握手
楽天、張本……といっても、球界OBのご意見番が急失速するチームに「喝」を入れたわけではない。卓球の張本智和選手が9月9日、Koboパーク宮城で行われた
オリックス戦の始球式に登場したのだ。
試合中に発する「チョレイ!」なる気合の入った掛け声でおなじみとなった張本選手は、8月に開催された卓球ワールドツアー、チェコ大会で元世界ランク1位のドイツ選手を撃破。史上最年少となる14歳61日で優勝した、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いを見せる若武者だ。宮城県仙台市出身で、本人が大の楽天ファンと公言したこともあり、今回の始球式が実現した。
「好きな選手は投手では藤平投手。去年の甲子園から好きになった。野手では茂木選手。試合が始まってすぐに先頭打者ホームランを打ってくれるので好きです」
試合前練習では「張本くんのパワーをもらおうと思う」と
梨田昌孝監督がガッチリと握手。本拠地9連敗中というどん底状態に、まさに神頼みの心境? また、チームでは最年少となる
藤平尚真とも交流した。
始球式では「1位を目指す」という思いを込めて「背番号1」のユニフォームでマウンドへ。わずか2日間の練習のみでのぶっつけ本番だったというが、「岸選手と久保選手に教えていただいた」という成果を見せ、見事にノーバウンドのストライク投球。畑違いの舞台でも勝負強さを発揮した。
「絶対に勝つという気持ちはどのスポーツも同じ。楽天は日本一になれるだろうし、僕は世界一を目指して頑張りたい」
残念ながら楽天はこの試合に敗れて、本拠地10連敗を喫したが、翌日にようやく勝利。「松井選手最後三振で勝利!」と、張本選手もツイッターで喜びを表した。世界を相手に連戦連勝の勢いを見せる若者にあやかり、ここから巻き返したいところだ。
文=富田 庸 写真=榎本郁也