今年は10月26日に行われるドラフト会議。毎年、金の卵たちが、どの球団へ進むか大きな注目を集める“一大イベント”で、さまざまなドラマも生まれる。今年で53年目を迎えるドラフト会議の歴史を週刊ベースボールONLINEでは振り返っていく。 松坂世代は総勢8人が1位指名
西武の入団会見での松坂と東尾監督(左)
1998年11月20日 第34回ドラフト会議(新高輪プリンスホテル) [1位選手(×は入団せず)]
ロッテ 小林雅英(東京ガス)
阪神 藤川球児(高知商高)
近鉄
宇高伸次(近大)
広島 東出輝裕(敦賀気比高)
ダイエー
吉本亮 (九州学院高)
ヤクルト 石堂克利(愛工大名電高)
オリックス 新垣渚 (沖縄水産高)×
巨人 上原浩治(大体大)
日本ハム 実松一成(佐賀学園高)
中日 福留孝介(日本生命)
西武
松坂大輔(横浜高)
横浜
古木克明(豊田大谷高)
野球ファンの注目は、甲子園を沸かせた横浜高・松坂大輔の行方にあった。同年優勝&日本一を飾った横浜希望と伝えられた松坂に対し、1位指名は横浜と西武、日本ハム。抽選で西武が交渉権を引き当てた。
会見ではやや渋い表情もあった松坂だったが、西武・
東尾修監督の交渉への出馬もあって入団を決めている。「平成の怪物」に3球団の指名は寂しいようにも思うが、逆指名導入後、各球団の上位指名がドラフト会議前に決まることが増え、さらに競合を避け、安全策を取る傾向が全体的に強くなっていたこともある。
逆指名組では巨人が国際試合で名を上げ、メジャー志向の強かった上原浩治と、阪神、広島の争奪戦に割り込む形で近大の強打の遊撃手・
二岡智宏を獲得(2位)。逆指名ドラフトでは大勝と言える。中日は95年ドラフトで近鉄を拒否した福留孝介を逆指名の1位で獲得した。
将来性において松坂に匹敵すると言われた沖縄の剛腕・新垣渚は、会議前から「ダイエー以外なら九州共立大」と断言していたが、オリックスが強行指名し、交渉権はオリックスへ。新垣はこれを固辞し、交渉に行き詰まったオリックスの
三輪田勝利スカウトが自殺するという悲劇が起きた。
ほか松坂世代の高校生では、いまなお虎のリリーフとして活躍する藤川球児、堅守の内野手・東出輝裕ら多数が1位指名されている(総勢8人)。
中日と並び社会人を1位指名したのが、ロッテ。守護神・小林雅英を獲得し、2位には小林ともバッテリーを組んだ帝京大の捕手・
里崎智也を取った。
すべての名前は載せられないが、各順位に好選手が並んだドラフトでもあった。
二岡、里崎以外の2位にも、1年目から11勝を挙げたオリックスの
川越英隆(日産自動車)、メジャーにも挑戦した日本ハムの
建山義紀(松下電器)、西武の巧打者・
赤田将吾(日南学園高)ら好選手が多いが、何と言っても中日の鉄腕・
岩瀬仁紀(NTT東海)の名がキラリと光る。
3位では阪神が先発、中継ぎで活躍した
福原忍(東洋大)、4位には日本ハムの
森本稀哲(帝京高)、中日の
蔵本英智(名城大)と堅守の外野手、横浜5位に首位打者にもなった
金城龍彦(住友金属)、さらに広島の6位には、いまや広島のレジェンドとなった
新井貴浩(駒大)の名前もある。
<次回に続く>
写真=BBM