金の卵の運命を決める日――。10月26日に行われるドラフト会議が目前に迫っているが、ここでは元巨人チーフスカウトの中村和久氏に注目の大学生ドラフト候補選手の能力を5段階で評価してもらった。 
1位候補の呼び声も高い東。その重圧にも立ち向かっていく決意だ
【投手】
東克樹(立命大)
合計=22.0 球速=4.0
変化球=4.5
制球力=4.5
メンタル=4.5
将来性=4.5
「投球術に秀でている左腕。上背がなく、ストレートが弱いという意識があるのだろう。制球された変化球を交えて緩急を駆使し、ボール球もうまく使って打者に的を絞らせない」

歴代のエースの背中を見て成長してきた齊藤。エースとしての自覚は十分だ
齊藤大将(明大)
合計=20.5 球速=4.0
変化球=4.0
制球力=3.5
メンタル=4.5
将来性=4.5
「度胸があって腕の振りも強く、セットアッパーの適性も。ただ、上体で投げており、制球力が課題。下半身を使えれば、球速、変化球ともに精度が増す。ノビシロは十分にある」
宮台康平(東大)
合計=18.0 球速=4.0
変化球=3.0
制球力=3.0
メンタル=4.0
将来性=4.0
「速球を投げる潜在能力があるだけに、バランスの良い投球フォームを覚えてリリースポイントを安定させたい。まだ四死球が多く、投球フォームを作るなど、土台作りが必要」

近藤は状況に応じたピッチングが出来るのが強み。リーグ戦の実績は申し分ない
近藤弘樹(岡山商大)
合計=19.5 球速=4.5
変化球=3.5
制球力=4.0
メンタル=3.5
将来性=4.0
「ストレートの威力は十分。ただ、今以上に一本立ちで軸足に体重を乗せた後に下半身主導のフォームになれば、よりキレのある直球を投げられ、カーブもさらに精度が上がるはず」
小久保気(四国学院大)
合計=22.0 球速=4.0
変化球=4.5
制球力=4.5
メンタル=4.5
将来性=4.5
「直球、変化球ともに精度が高い。なおかつ打者を見て投げることができる投手なので、どの球種でも勝負できる実戦派。フォームのバランスが増せば、ボールの精度もさらに増す」

宮本が侍ジャパン大学代表に選ばれるまで成長したのは、地道に努力した結果だ
【内野手】
宮本丈(奈良学園大)
合計=20.5 打力=4.5
守備力=4.0
走力=4.0
メンタル=4.0
将来性=4.0
「スイングスピードも速く、バットコントロールも二重丸。ただ、ボール球に手を出す傾向があり、選球眼を磨きたい。守備は送球をより安定させたい。粗さがある分、ノビシロは十分」

規格外の打球を飛ばす岩見。そのパワーは圧倒的だ
【外野手】
岩見雅紀(慶大)
合計=19.0 打力=4.5
守備力=3.5
走力=3.0
メンタル=4.0
将来性=4.0
「長打力に魅力十分。その一方で打ちたいがために、ボール球に手を出しやすく、確実性を欠くのが課題。好球必打を心掛ければ、一発を秘めるだけに、より怖さが増すだろう」
写真=BBM ●中村和久(なかむら・かずひさ) 1947年10月6日生まれ。三重県出身。高田高から名古屋商科大へ進み、70年にリッカーへ入社して都市対抗2度出場。74年限りで引退後はマネジャー、コーチ、部長代理を経て82年に監督就任。85年に巨人スカウトへ転じ、2006年から4年間は球団代表直属チーフスカウトに。09年12月限りで巨人を退団し、現在はベースボールアナリストとして取材活動中。