
井口監督は安田に対する期待を隠さない
10月26日のドラフト会議、
ロッテの
井口資仁新監督に笑顔が広がった。1巡目の第1回入札では競合覚悟で
清宮幸太郎(早実)を指名。7球団による抽選の末に敗れたが、第2回入札では3球団が競合した
安田尚憲(履正社高)を引き当てた。
清宮外れの瞬間は苦笑いとも取れる笑みだったが、山室晋也球団社長が一度上げかけた右手を、今度はしっかり高々と突き上げると、新指揮官は満面の笑みを浮かべた。山室球団社長にとっては5球団が競合した昨年の
佐々木千隼に続き、2年連続での外れ1位クジ当選だった。
24日のスカウト会議で高校生野手という方針は固まったものの、「最後まで清宮くんと(安田)で悩んだ」という。最終的には清宮へのチャレンジを決断したが、悩みに悩むほど清宮と同等の評価を与えていた安田を確保できたのだから、井口監督の笑顔にもうなずける。
若き和製大砲の不在はチームにとって近年の最大のウイークポイントだった。今季は途中加入したペーニャの15本塁打がチーム最多と、即戦力の長距離砲を必要としている状況だったが、「(安田は)即戦力。長打力もアベレージも期待できる」と井口監督の口は滑らかだ。
「(今季は球団ワースト記録の87敗を喫した)チームの状態を考えれば(レギュラー争いは)横一線のスタート。レギュラーを取るつもりで春季キャンプに来てほしい」
指揮官の言葉は、現在レギュラーをつかみ切れていない2人のドラ1野手への発破にもなるだろう。安田の本職である三塁は、2014年秋のドラフトで1位指名を受け、今季は後半戦で完全覚醒を予感させた背番号8・
中村奨吾が来季のレギュラー筆頭候補だ。
中村は遊撃もこなすことができるが、15年秋のドラ1である
平沢大河という大器が3年目の飛躍を期すポジションでもある。故障離脱するまでドラ1の2人を抑えてレギュラーを張った
三木亮もいる。17年シーズンを前にした春季キャンプでの熾烈な遊撃争いは記憶に新しい。
そこに新たなドラ1が割って入ることになる。三塁&遊撃をかけたドラ1野手3人(+三木)による激しいポジション争いが勃発するのか。井口監督でなくとも、今から春季キャンプが待ち遠しい。
文=杉浦多夢 写真=榎本郁也