
DeNAは先発・井納の不調がすべてだった
■10月28日 日本シリーズ第1戦(ヤフオクドーム)
ソフトバンク10-1DeNA
日本シリーズ第1戦、ソフトバンクが10対1と大勝したが先発の差がすべてだった。ソフトバンクの先発はシーズン13勝の
千賀滉大。立ち上がり、制球が定まらずに2四球を与えるが、二死一、二塁のピンチで
宮崎敏郎を三ゴロに打ち取る。コントロールを乱したが、ボールそのものには球威がある。
対して、DeNAの先発はシーズン6勝の
井納翔一。いきなり先頭の
柳田悠岐に中前打で出塁を許した。
今宮健太の犠打で一死二塁。打席には三番の
デスパイネだ。パ・リーグ本塁打王のウィークポイントは内角高めだとバッテリーも分かっているが、井納が投げ切れない。2球目、真ん中高めに入った直球を左翼への二塁打とされ、先制点を与えてしまった。
鉄壁の中継ぎ陣を誇るソフトバンク。DeNAにとって追加点を与えないことが重要だったが2回裏、先頭の
松田宣浩左前打を浴び、続く
長谷川勇也に外角高めの直球をバックスクリーン右のテラス席へ運ばれてしまった。
2回裏が終わり、0対3。これではDeNAになかなか勝機は生まれない。それに、DeNAにとって、乗せてはいけない打者である柳田、松田に簡単に打たれてしまったのは問題。短期決戦で打者は安打が出るまでなかなか不安が消えないもの。その不安を早々に吹き飛ばされてしまった。さらに彼らが打つと打線だけでなく、チーム自体が盛り上がっていく。ムードメーカーの安打は、単にそれだけで終わらない価値がある。
ただ、DeNAにとって、点差ほどのダメージはないだろう。クライマックスシリーズでもファーストステージ、ファイナルステージのいずれも初戦敗退。そこから盛り返して勝ち上がってきた。先発投手の力量差も考えて、
ラミレス監督の頭の中には“敗戦”もある程度、織り込み済みだったかもしれない。
とにかく第2戦、DeNAにとってやるべきことは先制点を奪うこと。そして、初戦のように柳田、松田に簡単に打たれてはいけない。一番、六番を打つこの2人を確実に切って、打“線”にさせないことだ。それだけでホッとしてはいけない。初戦は四番の
内川聖一が無安打でもソフトバンクは10点を奪ったが、柳田、松田が沈黙したときは、逆に内川が真価を発揮する。難解なことだが柳田、内川を抑えつつ、内川を沈黙させ続ければ勝機は生まれる。
写真=小山真司