
6回10奪三振を奪った今永。ボールの力強さは抜群だった
■10月29日 日本シリーズ第2戦(ヤフオクドーム)
ソフトバンク4-3
DeNA 確かに6回までに116球を投げていた。しかし、仮にもシーズンで11勝を挙げたチームの勝ち頭だ。もう1イニング投げさせても良かったのではないかと思う。3対1とDeNAがリードしていた7回裏、ソフトバンクの攻撃。
ラミレス監督は先発の
今永昇太をベンチに下げ、継投策に入った。マウンドに送ったのは
三上朋也。しかし、左の代打陣がソフトバンクベンチに控えているのは分かり切ったことである。ここで打席には
江川智晃に代わり、
明石健志。三上が投じた4球目、外角直球を明石は左中間へ打ち返して、二塁打とする。
続く代打の
城所龍磨に犠打を決められ、一死三塁。
柳田悠岐を打席に迎えたところで、三上から左腕の
砂田毅樹にスイッチ。しかし、砂田が投じた2球目、外角低めの直球をセンター前に運ばれ、1点を返されて3対2。さらに一死一塁で
今宮健太が打席に入り、今度は
パットンがマウンドへ。パットンは今宮を二ゴロに打ち取ってゲッツーかと思われたが、セカンドからの送球をショートの
倉本寿彦が落球。これは明らかなボーンヘッド。当たりは痛烈で、十分に余裕がある。しっかりと捕って一塁に送球すればいいだけの話なのに捕球ミス。倉本は「強い当たりだから慌てなくてもゲッツーになる」という、とっさの状況判断ができていなかった。
結局、一死一、二塁とピンチは続く。パットンは
デスパイネを外角低めのスライダーで三振に打ち取るも、
内川聖一を四球で歩かせて二死満塁。
中村晃には外角のチェンジアップを右前に運ばれ、三走・柳田が生還。二走・今宮は一時、本塁タッチアウトの判定も、リプレー検証の結果、生還が認められてソフトバンクに再びリードを奪われてしまった。
この回、戸柱の配球も気になった。打たれた球もそうだが、それ以外でも外一辺倒なのである。安全策を取ったのかもしれないが、偏った配球では強力なソフトバンク打線を封じるのは難しいだろう。時には内角を突くこともしなければいけない。
DeNAにとって“魔の7回”、今永をもう1イニング投げさせていれば、結果はまた違ったものになったように感じる。そうすれば、この日のようにパットンを前倒しで登板させることなく、シーズン同様に8回に投げさせることができた。
DeNAは痛過ぎる2連敗。本拠地・横浜スタジアムで戦う第3戦、先取点を取って試合を有利に進めたい。カギはやはり1、2戦を通じて無安打の一番・
桑原将志だろう。戦前、ラミレス監督がキーマンに挙げた男の復活が望まれる。
写真=湯浅芳昭