
ドラフト7位指名を受けた東大・宮台は10月30日、日本ハムから指名あいさつを受けた(左から東大・浜田監督、宮台、日本ハム・大渕スカウト部長、同・西スカウト)
10月26日のドラフト会議で日本ハムから7位指名を受けた東大の150キロ左腕・
宮台康平投手(4年・湘南高)が30日、東大本郷キャンパス内で指名あいさつを受けた。日本ハムからは大渕隆スカウト部長、
西俊児スカウトが訪れ、東大は浜田一志監督が同席した。
大渕スカウト部長は赤門エースに“土産”を持参している。タイトルは『宮台康平君の入団にあたり』。パワーポイントで作成された6枚に及ぶ資料の内容について、同部長はこう説明した。
「東大、京大の選手は長く活躍していない現実がある。実力を評価して指名しましたが、(周囲は)特別というか、そうでない見られ方もする。そういった環境に対して、こうなったら力が出せるという、プロにおける考え方、生き方が書いてあります。話もさせていただきましたが、本人も理解を示してくれました」
宮台は「指名された実感がわきました」と、あらためて喜びを口にするとともに「これからの予定が分かったので、プロになるための準備をしたい」と気を引き締めた。
東大法学部の秀才。来年1月の入寮の際に、持ち込む荷物について問われると「勉強道具は持って行きません」と、野球一本で勝負することをあらためて決意。
話してみたい同期入団選手は「清宮(幸太郎、早実、ドラフト1位)君」と即答した。「どうやって体を大きくしたのかとかを聞いてみたい。いろいろな自分の考えがあってプロに来たと思う」と、年下に対しても学んでいくどん欲な姿勢を見せた。
逆に教えることは?
「ないですよ。勉強? 自信を持って勉強とは言えません。英語ですか? 大学入試レベル。誇れるほどの英語力ではない。普通です。しゃべれないですし、外国へ行ったことも……」
笑顔で報道陣に対応した宮台。大渕スカウト部長からの“土産”の効果により、不安であった部分も払しょくされ、プロとしてやっていく自信がさらに芽生えたようだ。
宮台にとって、日本ハムがプロとしてのスタートを切る上で、最高のチームかもしれない。日本ハムはかつて、メジャーを熱望していた花巻東高・
大谷翔平に対し、入団交渉の際に『大谷翔平君 夢への道しるべ』と題した資料を提示。大谷に球団の情熱が伝わりMLBから一転、NPB入団へと結びつけた実績がある。
東大出身のプロ野球選手は宮台で6人目。最近では
小林至(元
ロッテ)、
遠藤良平(現日本ハムGM補佐)、
松家卓弘(元横浜ほか)の3投手が入団しているが、いずれも未勝利。2015年には京大・
田中英祐がロッテに2位で指名されたものの3年目の今季、未勝利(一軍2試合登板)のまま戦力外通告を受けている。
こうした厳しい現実があるが、過去は過去。大谷が無理だと言われた「二刀流」を実現させたように、既成概念を打ち破るだけの環境、育成力が日本ハムには期待できるのだ。
「まずは1勝。早く初勝利を挙げたい」
すでに宮台の心は、北海道へと向いている。
文=岡本朋祐 写真=BBM