
顏近くの球。表情で分かるように確かにすさまじい恐怖心があったはず
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は11月1日だ。
2012年11月1日、
巨人─
日本ハムの日本シリーズで事件は起こった。
2勝2敗の五分で迎えた札幌ドームでの第5戦である。互いに中4日での登板となった巨人・
内海哲也、日本ハム・
吉川光夫の左腕エース対決となったが、ともに立ち上がりは不安定。特に吉川は3回途中5失点で早々に降板となった。
迎えた4回表の巨人の攻撃だった。無死一塁で打席に入った
加藤健は送りバントの構え。対して、日本ハム2番手・
多田野数人が投じた2球目は、加藤の顔付近を通過して捕手の後ろへと逸れたように見えた。
しかし、柳田球審はこれを頭部への死球と見なし、危険球で多田野を退場に。日本ハム・
栗山英樹監督は必死に抗議したが覆らず、疑惑の判定に札幌ドームはブーイングに包まれた。実際、リプレーの映像を何度も見ても、当たっているようには見えなかった。日本シリーズでの危険球退場は初めて。加藤は「頭が真っ白で何も……」と語っているが、何とも後味の悪いシーンだった。
結局、この試合は巨人の大勝。続く第6戦にも勝利し、3年ぶりの日本一となっている。
写真=BBM