
遊撃手としてプロの世界に飛び込む奈良学園大の宮本
ドラフト会議から1週間以上が経過し、全国各地で12球団による指名あいさつが行われた。10月30日には
ヤクルトの橿渕聡スカウトグループデスクと
阿部健太スカウトが奈良県三郷町の奈良学園大を訪れ、6位で指名した
宮本丈選手と対面した。
宮本の大学時代のポジションはショート。同性の
宮本慎也ヘッドコーチの動画研究が日課だそうで、「雲の上過ぎて異次元の世界ですが、目標にしたい人です」と言い切った。また、履正社高の3学年先輩の
山田哲人はあこがれの人でもある。高校には入れ違いで入学し、1年秋に同じポジションであるショートのレギュラーとなった。
「いつかは同じ舞台でやりたいと思っていましたそのチャンスを与えられるところまで来ると思っていなかったので、絶対にやってやろうという気持ちです」
奈良学園大の恩師である酒井真二監督いわく「最初から最後までグラウンドに残っている子」という努力家だ。大学3年時に大学日本代表候補選ばれると、選考合宿で
京田陽太(日大、現
中日)、
吉川尚輝(中京学院大、現
巨人)と同じポジションでノックを受けた。そこで守備に対する意識や、打球に対する一歩目に衝撃を受けたという。それ以来、自身の守備への取り組みも大きく変わったそうだ。そして翌年、侍ジャパン大学代表の正遊撃手にまで駆け上がった。
その一方で微笑ましいエピソードもある。体脂肪率は減量中のボクサーもビックリするような1ケタ台だが、プライベートではスイーツが好物で、特に生クリームには目がないとプロフィール欄に盛り込まれている。ストイックな野球選手が垣間見せる、ホッとするようなエピソードである。「奈良学園大のスイーツ男子」が、ヤクルトで新たな「遊撃手・宮本像」を塗り替える日が待ち遠しい。
文=富田 庸 写真=太田裕史