
日本シリーズ第6戦、2回一死一、三塁のピンチを自慢の強肩で脱した甲斐は、先発・東浜とハイタッチ
交流戦を除けば、自分が担当する球団と同一リーグ以外の練習を見る機会は少ない。
DeNA担当の私なら、パ・リーグ球団の練習はあまり見たことがない。
今回、日本シリーズで
ソフトバンクの練習を見ていて気づいたのが、捕手のスローイング練習だ。試合開始の直前まで
鶴岡慎也、
高谷裕亮、
甲斐拓也の3人が二塁ベースまでの距離をとって、入念にスローイング練習をしていた。
DeNAも全体練習の前に
光山英和バッテリーコーチの下、毎日、捕手組が練習を行っているが、ソフトバンクの練習はそれに劣らず熱がこもっていた。
マウンドに上がる直前の投手がブルペンで投球練習をするように、3人の捕手がスローイング練習を繰り返し行い、甲斐のヒジが下がってくると「タク! がんばって(上まで)持ってこい!」とゲキが飛んでいた。
そんなことを感じた、その日の試合。2回一死一、三塁のピンチでDeNAが仕掛けたエンドランに対して、甲斐が二塁へストライク送球で三振ゲッツー。当たり前のことながら、強いチームは「準備」に抜かりがなかった。
文=滝川和臣 写真=早浪章弘