
九州共立大の四番で主将・片山は大会史上7人目となる1試合2本塁打を放った
第48回明治神宮野球大会の2日目(11月11日)、大学の部で史上7人目の記録が生まれた。
九州共立大の四番で主将・
片山勢三(4年・門司学園高)が名城大との1回戦で1試合2本塁打を放った。プロ注目の153キロ右腕・
栗林良吏(3年・愛知黎明高)から初回にスライダーを左翼ポール際へ、5回には外角高めの真っすぐを右中間スタンドへ運んだ。チームは7対7の9回裏、
望月涼太(4年・東大阪大柏原高)のサヨナラ打(8対7)で初戦突破を果たしている。
1試合2本塁打は過去に駒大・
中畑清(前
DeNA監督)、青学大・
井口忠仁(現資仁、
ロッテ監督)らが記録したものであり、試合後は「光栄です」と白い歯をのぞかせた。
登録は身長176センチ、体重108キロだが、東京入り後に体重は2キロ増えて110キロになったという。「ホテルのバイキングがおいしんです。監督には言えないですが……(苦笑)。昨日の練習も『体にキレがない』と言われ、『走れ!!』と。でも、『打つなら、食え!!』」と、今大会限りで引退を前に、食事制限が解禁となった。その効果が即、初の全国大会で出たのだから驚きだ。
好きな食べ物は意外にも!?「魚です」。高校通算36本塁打。大学入学後、4年間で15キロ増のビルドアップにより、リーグ戦通算14本塁打を放った。この日、2本目の本塁打を放つと、名城大ナインから「おかわり」と言われたという。
心優しいキャプテンでもある。7対7の9回裏一死一、三塁から、片山は「初めてです」という1試合2個目の敬遠で歩かされた。次打者の望月が試合を決めたわけであるが「ドラフトもあって(指名漏れ)、悔しい思いをしていた。一番、努力した選手。安心して一塁から見ていました」と、自身の記録よりも、仲間の殊勲打を喜んだ。
大学卒業後は社会人の名門チームでプレーする。福岡六大学リーグでライバル関係を築いてきた九産大の右腕・
草場亮太(4年・伊万里商高)も近畿の強豪企業チームに入社することとなっており、「関西の社会人野球を盛り上げていきたい」と意気込んでいる。
文=岡本朋祐 写真=川口洋邦