
星槎道都大の左腕・福田は創価大との2回戦で散発4安打完封を飾った
第48回明治神宮野球大会3日目(11月12日)、大学の部で星槎道都大が創価大との2回戦で、6回目の出場にしてうれしい大会初勝利を飾った。
1対0。しかも、相手投手の暴投による虎の子の1点を守り切ったのは星槎道都大の左腕エース・
福田俊(すぐる、3年・横浜創学館)だった。4安打に抑え、11奪三振と140キロ台のストレートにはキレがあり、カウント球ではスライダー、追い込んでからのフォークもキレ味抜群であった。
北海道出身だが、父親の転勤により、小学校4年時に神奈川へ引っ越した。横浜創学館高では甲子園出場経験はなく、3年夏の県大会は5回戦敗退。中学時代に在籍した小田原ボーイズ、高校を通じて先輩に当たる1学年上の高橋航平(4年)を慕い「神宮に出ている大学ですし、先輩がいる」と道都大(今年から星槎道都大に改称)を志望。山本文博監督も練習試合を視察した上で勧誘すると「北海道へ行きたいです!!」と相思相愛だったという。
山本監督によると、今春までは中継ぎや抑えを任されていた。潜在能力はチーム内でも群を抜いていたが、安定感がなかった。とはいえ、勝利を追い求めるため、指揮官は覚悟を決めた。春のシーズンに福田を呼び出し「一本立ちしてほしい!!」と先発転向を伝えた。また、「プロを目指すなら、この秋に結果を残す必要がある」と期待を込めたのだった。
山本監督の言葉に応え、福田は人生初の全国大会で初勝利を大学初の完封で飾り、ドラフトイヤーへ向けて最高のアピールとなった。「素直にうれしい。神宮の舞台で自分の投球ができたことは自信になる。緊迫した試合で楽しかったです」と、肝っ玉の大きさも見せている。
170センチの「小さな大エース」がここに、誕生した。2018年、注目の左腕としてクローズアップされそうだ。
文=岡本朋祐 写真=川口洋邦