2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 日本シリーズに向けての盛り上がりを感じさせる記事が並ぶ
今回は『1958年10月29日号』。創刊第29号で定価30円。中カラー見開きは『投げ合った右腕と左腕』と題し、巨人・
藤田元司と国鉄・
金田正一の2ショット。
藤田は29勝と大活躍だったが、金田はさらにすさまじく、生涯最多の31勝、防御率も生涯最高の1.30。特に64回3分の1を無失点に抑えた春先のピッチングは圧巻だった。400勝投手・金田の絶頂期と言ってもいいだろう。
そのタイミングで巨人に長嶋茂雄が入団したのだ。野球の神様も粋なことをする。
巻頭グラビアは巨人・長嶋、西鉄・
中西太と3年連続で日本シリーズで対戦する両チームの四番が登場。いまなお“史上屈指の激闘”とも言われる運命の日本シリーズが、いよいよ幕を開けようとしている。
その後のグラビアページで10月5日、最終戦終了後の西鉄のリーグ優勝表彰式、
三原脩監督の胴上げが続く(優勝決定は10月2日)。
本文巻頭は『留任を命じられた水原監督~日本シリーズの焦点をつく』。まずは、
水原円裕監督との確執が話題になっている品川主計巨人球団社長への一問一答。10月2日に水原監督留任を発表し、その経緯などについて質問を受けている。
品川は自身の性格について、「人さまのように遠慮しませんので、そういう結果になるんでしょうね。歯に衣着せてものを言ったり、あっちを見、こっちを見て、人さまは遠慮しているでしょう。私のように率直にいかん。率直にいくと、ああいうことになるかもしれん(笑)」と語っている。プライドの高さで知られた水原監督とは、合うはずもなかったのだろう。
恒例の『10分間インタビュー』は巨人・
川上哲治、西鉄・
大下弘が登場。特別座談会では、大逆転でパの王者に輝いた西鉄から三原監督、稲尾和久、
豊田泰光が登場。『三連覇!巨人の記録に挑まん』とある。過去日本シリーズでは51年から53年の巨人3連覇が最長、この年の西鉄はそれに挑むことになる。
さすが豪華と感心していたら、その次は『稲尾を倒して雪辱せん!~巨人軍主力のうちわばなし』として巨人から水原監督、長嶋、藤田が登場だ。自虐的な表現になってしまうが、当時の「週べ」のすごさをあらためて感じる。
この対談中、秋になって東京地方で多かった雨による調整への影響を心配するくだりがあった。やや早足にならせてもらうと、この年の日本シリーズのカギは、東京ではなく、福岡だが、雨だった。
ほか『人気に沸く後楽園と平和台~日本シリーズ前夜の表情』『日本シリーズ両軍選手なくて7クセ』。さらに後ろグラビアでは両軍主力選手の写真名鑑などと、日本シリーズに向けての盛り上がりを感じさせる記事が並ぶ。センターグラビアは巨人のシーズン最終戦と優勝表彰の記事もあった。水原監督もまた、この日が胴上げになったようだ。
スカウト戦線の記事もあった。最大の注目と言われた早実・
王貞治は最終ページで巨人の入団会見が載っていたが、記事のタイトルは『スカウト合戦の中間戦報告』と、まだまだ活発。高校生の目玉は徳島商高の
板東英二だった。
なお、恒例の賞金10万円の『ホームラン・クイズ』は日本シリーズの最高殊勲選手と首位打者はだれ、がお題。いまさらになるが、誰がホームランを打つかのクイズではなく、ホームランのようにでかい賞品があるクイズだった。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM