2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 センターカラーは『チャンピオンの腕』
今回は『1959年3月18日号』。創刊49号で定価30円だ。センターカラーは『チャンピオンの腕』の見出しで西鉄ライオンズの投手陣がずらり。頭グラビアは『投げろ!板東~湯之元の“異色のルーキー”』の見出しで、徳島商高から
中日入りした
板東英二の特集だ。板東は座談会『ドラゴンズの誇り』でも
杉下茂監督、2年目の
森徹とともに登場する。強心臓と評判の板東。新人らしからぬ、ふてぶてしい言葉はないか、と探したが、さすがにこの2人相手ではおとなしくしているしかなかったようだ。
本文巻頭は『特集チャンピオンの穴~西鉄・巨人の泣きどころ』。前年のリーグ王者2チームの死角を探る企画だ。西鉄は
三原脩監督がオフに大洋への移籍騒動を起こしたが、選手の一部はこれを「監督はひとりいいことをしやがった」と、すべてを給料つり上げのためと思っているらしい。3連覇チームながら暗雲が垂れこんでいる。一方の巨人は打力のいい
藤尾茂を外野手に回すプランが注目されていたが、のちのちを考えれば、それにより森昌彦を捕手に抜てきしたことのほうがチームには大きかったと言えるかもしれない。
その後、『熱狂的ファンに支えられて~
広島カープは生きている』もあった。決して強くないが、12球団唯一親会社を持たず、熱狂的ファンに支えられたチームである。このときはキャンプから熱狂的なファンが訪れ、紅白戦も有料にしていたようだ。
ただ、かわいさ余ってではないが、逆にミスがあった際の味方へのヤジもすさまじいらしく、ウワサではシーズン51本ホームランもあった大選手・
小鶴誠が前年限りで引退したのは、このヤジのひどさもあったとか。選手たちの一部も「旅に出たほうが楽ですよ」と言っていたらしい。カープの悪口を書いた新聞に「火をつけてやる」と脅したり、ローカル放送で「大洋─広島」と言うと、「なぜ広島が後なんだ」と苦情が来る。さらには広島の飲み屋でカープの悪口を言った
阪神ファンが袋叩きにされたなど、真偽はともかく、物騒な話が並ぶ。
また、中に「週べ」の姉妹誌として『週刊スポーツマガジン』(40円)も紹介されていた。『タイガース再建の具体案』『栃錦大いに怒る』などが特集にあり、野球と相撲を軸にしたオールスポーツの雑誌のようだが、一社で週刊誌2冊というのも、なかなか大変だっただろう。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM