ソフトバンクの日本一で幕を閉じた2017シーズン。熱戦が続いたが、球団ごとに「投手力」「攻撃力」「守備力」に分けて振り返っていく。 投手力 PITCHING REVIEW

キャリアハイの17勝を挙げ、沢村賞を受賞した菅野智之
セ・リーグ4位
◎143試合 72勝68敗3分 勝率.514
◎ホーム38勝33敗0分、ビジター34勝35敗3分
◎交流戦6勝12敗0分 勝率.333 10位
先発3本柱が奮闘した。菅野智之が最多勝(17)、最優秀防御率(1.59)、M.
マイコラスが最多奪三振(187)と2人で投手主要3タイトルを独占し、
田口麗斗も加えた2ケタ勝利トリオで貯金27を作った。後半戦には新人の
畠世周が6勝を挙げて先発4番手に浮上。最後までCS争いを繰り広げる原動力になりはしたが、時すでに遅し。
内海哲也、
大竹寛らベテラン組の不調、期待された移籍組の
吉川光夫が1勝に終わり、同じく
山口俊にいたっては、右肩痛で出遅れたばかりか、泥酔の末に暴行事件を起こすなど散々。前半戦のうちに先発4~6番手を見出せなかったこともBクラスへ転落した1つの要因といえる。
リリーフ陣でもこれまでチームを支えた鉄腕・
山口鉄也の不調、昨季のセーブ王・
澤村拓一は右肩不安で今季登板ゼロに終わり、セットアッパーのS.
マシソン、クローザーのA.
カミネロ以外に通年仕事をした投手は不在。“中”の人員不足、不安定さは少なからずチームの勝敗にも影響を及ぼした。それでもリーグ最少の504失点にまとめたのだから、踏ん張ったと言える。
攻撃力 HITTING REVIEW

4年ぶりの日本球界復帰ながらリーグ2位の打率を残すなど気を吐いたC.マギー
年々迫力を欠く打線は2017年も他球団の脅威とはなり得なかった。113本塁打、チーム打率.249はいずれも
阪神と並びリーグ3位タイだが、12球団最多の129併殺では得点は望めなかった。
一番を期待したFA加入の
陽岱鋼のケガによる出遅れがケチのつき始め。四番に座った
阿部慎之助の連夜の殊勲打で開幕5連勝こそ飾ったものの、
中井大介、
立岡宗一郎の一、二番コンビはチャンスを作れず、つながらない打線は徐々に沈黙した。5月25日の阪神戦(甲子園)から6月8日の
西武戦(メットライフ)までは球団ワーストの13連敗。この間の平均得点はわずか2.2点である。シーズン504失点はセ最少なのだから、やはり貧打が11年ぶりのBクラスの大きな原因と言わざるを得ない。
シーズン3割超えは4年ぶりに日本球界に復帰し、後半戦から二番を任されるなど意外な起用に応えたC.マギーのみ。昨季首位打者の
坂本勇人もWBCからのフル回転で夏場以降に成績を落とした。
守備力 FIELDING REVIEW
打撃には目をつぶる必要があるが、小林誠司が2年連続で規定打席に到達するなど正捕手として一本立ちし、菅野とともに最優秀バッテリー賞、ゴールデン・グラブ賞も獲得するなどセ最少失点に大きく貢献した。
遊撃の坂本もキャリア初の1ケタ失策で2年連続ゴールデン・グラブ賞は高く評価されるべき。開幕から固定できずにいた二塁にマギーを起用したのは最終手段だったが、2018年は17年のドライチ・
吉川尚輝や
山本泰寛ら若手の奮起が期待される。
【2017年の主な達成記録】
◎通算2000試合出場=阿部慎之助、5月20日対
DeNA(横浜)、プロ野球50人目
◎通算350本塁打=
村田修一、6月3日対
オリックス(東京ドーム)、プロ野球29人目
◎通算1500安打=坂本勇人、7月9日対阪神(甲子園)、プロ野球123人目
◎通算2000安打=阿部慎之助、8月13日対
広島(マツダ広島)、プロ野球49人目
◎球団通算1万本塁打=中井大介、9月26日対
ヤクルト(東京ドーム)、プロ野球初
◎シーズン48二塁打=C.マギー、10月3日対ヤクルト(神宮)、セ・リーグ新記録