2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 「さすが長嶋、汽車より速い」
今回は『1959年6月3日号』。いつもより10円高く定価40円だ。通常4ページずつの頭と後ろのグラビアが8ページずつとなっている。センターのカラーグラビアは『西鉄なにするものぞ』と題し、
杉浦忠、
野村克也の南海バッテリー。頭グラビアは『長嶋茂雄~その魅力』で、巨人・長嶋については、本文でも『驚異・長嶋茂雄』の記事があった。5月12日現在、4割6分3厘、史上初の4割打者誕生かと騒がれていたようだ。
連載『選手の秘密』でも長嶋が登場。オフに軽井沢あたりで汽車が止まってしまったとき、退屈したのか長嶋は8ミリカメラを持って汽車を降りて撮影タイムに。夢中になっているうちに汽車が動き出してしまい、長嶋は必死に走って追いつくと、汽車に飛び乗った話だ。
その場にいた人たちは「さすが長嶋、汽車より速い」と驚いたという。
本文巻頭は『特集 怒れ!ライオンズ』。3連覇と黄金期を迎えたはずの西鉄ライオンズが不振にあえいでいた。オフの
三原脩監督退団騒動以後、球団フロントと三原監督の冷戦が続いていたことも一因らしい。
『外人部隊は訴える!』という記事もあった。近鉄のミケンズの
「連続登板が多すぎる。日本ではローテーションを考えないのか。短期間は通用するが、必ず長続きしなくなり、選手生命を短くするばかりだろう」
は正論だが、次の言葉はすごい。
「長嶋が4割台のアベレージを保っているなんておかしい。彼のような打者にこそビーン・ボールが必要なのだ。日本の投手はビーン・ボールを投げないと決めて、打者のほうもリラックスして打席に入っているから、どんなボールを投げても打たれる」
『12球団週間報告』では国鉄打線のニックネームの話題。当時西鉄「水爆」、大毎「ミサイル」、
阪神「ダイナマイト」、近鉄「ピストル」などがあったが、国鉄についたのは「お天気打線」。打つときは打つが、打たないときはまったく打たないからだ。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM