圧倒的なパワーピッチング

37歳にして力のピッチングを見せ続ける藤川
2017年の記録の裏側に迫る短期連載。第2回は奪三振だ。
楽天・
則本昂大の奪三振が話題になった昨シーズンだが、チームで見るとセ、パ投手陣で最多奪三振は
阪神の1223。セ内2位の
DeNAをなんと106も上回る。
阪神は3.29でリーグ最高防御率にもなっているが、特筆すべきはリリーフ陣の充実だ。先発3.71、リリーフ2.77。12球団最強の投手陣と言われ、チーム防御率3.22の
ソフトバンクのリリーフ防御率2.78も上回る。
その秘密は、パワーピッチング。
金本知憲監督は「回転のいい、強い球を投げろ!」と選手に言い続け、スタイルの違いこそあれ、選手もそれを体現している。データ的に甲子園はセ本拠地内でもっともホームランの出にくい球場であり、あの広いナゴヤドームが69試合で85本塁打に対し、62試合で65本塁打と少ないこともあるだろうが、加えて、あの熱狂的な声援が攻めるピッチングでさらに増幅し、相手に重圧をかけることを熟知しているからだろう。
奪三振率で見ると、先発が7.80、リリーフが9.88。12球団のリリーフ陣で奪三振率が9を超えるのは、他はソフトバンクのみだが、こちらも9.16。虎のブルペン陣の威圧感が分かる。
個人で見ていくと、先発では規定投球回達成者で最高となる9.76の
メッセンジャー、リリーフ陣ではドリス12.14、
藤川球児11.28、
岩崎優11.05などの数字がある。球速はまちまちだが、いずれも攻めてこそ、の数字である。
おそらく金本監督の中には、自身が現役で優勝を手にした2005年のイメージがあるのではないだろうか。同年のリリーフ陣の奪三振率は、なんと10.30。それもそうだ。
ジェフ・ウィリアムス10.37、藤川球児13.55、
久保田智之10.82。あのJFKがいたのだから。
写真=BBM