1月18日、慶大の優勝祝賀会にOBの巨人・高橋監督が出席。楽天に入団したルーキー・岩見(左)は先輩に深々と一礼した
慶大の優勝祝賀会が1月18日、東京都内のホテルで開かれた。昨秋、7季ぶり35度目となる東京六大学リーグ制覇を大学関係者、野球部OB、球界関係者など約600人が祝福した。
パーティー会場内で「計44本塁打」の2ショットが実現した。
祝賀会には慶大OBで、東京六大学歴代1位の23本塁打をマークした巨人・
高橋由伸監督が出席。昨秋、先輩の記録に挑んだ楽天の新人・
岩見雅紀は歴代3位の21本塁打を放ち、神宮の杜を盛り上げた。
岩見は4年春の開幕時点で9本塁打だったが、春に5本塁打、秋はシーズン最多タイの7本塁打。年間12本塁打のリーグ記録を更新し、驚愕の量産ぶりを見せた。高橋監督は壇上でこんな、エピソードを明かしてくれた。
「まず、抜かれないだろうと思っていましたが、(途中からは)覚悟しました……」
そして、こう続けた。
「私が在籍した時代は、強いチームではなかった。チーム事情で(1年春から4年秋まで)フルイニング出場で積み上げた数字。打席数(高橋=366、岩見=178)からすれば、1年早くレギュラーを取っていれば、とっくに抜かれていたと思う」
岩見は比叡山高(滋賀)では甲子園出場経験がなく、1年間の浪人を経て慶大へ入学。飛ばすことには長けていたが、確実性に欠けていたため、定位置獲得は3年春と遅咲きだった。
岩見が「高校時代のことを思えば、よくやったなと思う」と話すのも、本音だろう。
高橋監督は新人合同自主トレでプロの第1歩を踏んだ後輩・岩見に対して「良いものがあったから、ドラフト2位という評価。やってきたことを信じて、壁にぶつかるまでは、自分の良さを前面に出してほしい」とエールを送った。
岩見は出席者の前で、1年目のビジョンを堂々と語った。
「長期的な目標を立てるのは苦手。まずはケガなくキャンプを送り、開幕一軍を目指してオープン戦を戦い、ベンチに入って試合に出場する。一つひとつクリアしていって、最終的には新人王。野球人生で一度しかない機会に挑戦していきたいです」
岩見はパーティ会場にいた高橋監督の下へ真っ先に向かい、深々と一礼した。東京六大学リーグ91年の歴史で、20本塁打以上を記録した選手は、高橋監督、法大・
田淵幸一氏(22本)、早大・
岡田彰布氏(20本)、そして、岩見の4人しかいない。右肩をたたいて激励した高橋監督。大学の先輩と後輩、神宮に足跡を残したスラッガー2人にしか分からない“空気感”がそこにはあった。
文=岡本朋祐 写真=BBM