「コーチングは野球も教習所も共通する部分がある」
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父・敬さんが経営する自動車学校で働く林
昨年限りでプロ野球16年の現役生活に終止符を打った元
DeNA・
林昌範(34)は千葉県船橋市の船橋中央自動車学校で営業部長として働いている。
父・敬さん(67)が経営する自動車学校は1971年に開校されて今年が47年目。「パソコンをいじったこともほとんどないし、経営の専門用語もネットで調べながら資料を確認しています。野球とは全然違う世界に飛び込んだから新鮮ですね」と目を輝かせる。
自動車学校の生徒は10、20代の学生、社会人が多く、近年はバイクの免許を取りに来る主婦も増えているという。だが、少子化が進み、千葉県内の教習所は生き残りをかけて競争も激しい。
「いかにお客さんに興味を持って来ていただけるか。選手にユニフォームをもらって展示コーナーを作ることも考えています。現役時代は自分が表に出るのは嫌だったけど、今は違う。『あっ、あの自動車学校に林がいる』、『元プロ野球選手がいる』と興味を持ってくれれば。僕の名前が少しでも役に立つなら何でもやりますよ」と言葉に熱がこもる。
教習指導員の平均年齢は40代と林より年上が多い。時間があれば、学科や応急救護の授業を生徒と一緒に受ける。
「難しいことをいかに簡単に伝えられるか。コーチングは野球も教習所も共通する部分がある。いろいろな指導員の言葉の選び方、伝え方はすごく勉強になる」と参考にしているという。
午前9時から働いて、帰りは午後9時過ぎになることも。帰宅後は野球の動作解析システムを独学で勉強する日々。高度な専門知識を学ぶため、大学院への進学も検討しているという。
巨人、
日本ハム、DeNAを渡り歩いた現役時代は理論派で後輩から投球フォームについて助言を求められることも多かった。「今の仕事で精一杯ですけどね」と前置きしたうえで続けた。
「野球とはつながっていたい。コーチの仕事はすごく興味がある。小谷(正勝)さん(巡回投手コーチ)や
高橋一三さんみたいにボソッとした一言で投手が大きく変わる。僕も知識や引き出しをたくさん増やして若い投手が成長する手助けをしてみたい」
夢や目標は1つでなくていい。林の新たな挑戦は希望に満ちている。
記事・写真提供=ココカラネクスト編集部