
昨年7月8日の楽天戦、代打で3号本塁打を放った山川
野球人生を懸けた打席だった。
2017年7月8日、楽天戦(Koboパーク宮城)。0対2の8回二死一塁、
西武・
山川穂高が代打で打席に立った。
「絶対に結果を出す」
ネクストで決意をみなぎらせていた。
カウント3-1からの5球目。
ハーマンが投じたストレートをフルスイング。勢いを増した打球は右中間スタンドへと吸い込まれていった。
「僕はずっと打ち続けないといけないんです。3試合あったら全部打たなきゃいけない、140試合あったら140試合全部打たなきゃいけない中で、じゃあどうするかと言ったら、全打席、結果を出しにいくということ。その気持ちで打席に立って打ったホームランでした」
一昨年、一軍で14本塁打をマーク。昨年は開幕一軍を果たすも、打率1割台と不振を極め、5月1日に二軍落ち。ファームで懸命にバットを振り、同日に一軍再昇格を果たしていたばかりだった。
「あの一本がなかったらクビかもしれなかったですね」
あきらかに流れが変わった。
「死んでも打つ、絶対に打つ」
目の前の打席に集中することを続けていった結果、8、9月と2カ月連続で月間MVPを獲得し、最終的には本塁打数を23にまで伸ばした。
シーズン終了後、「アジア プロ野球チャンピオンシップ2017」にも出場。侍ジャパンのユニフォームを着て、本塁打も放った。
それでも慢心はない。オフも休むことなくトレーニングに励み、年明けも2日から始動。キャンプ目前だが、打撃の感覚は体の中に残っている。
「キャンプの、それこそシート打撃から絶対に打つつもりで打席に入ります」
昨年、夏場以降の勢いを持続し、本物となれるか。今年が大切なシーズンとなるのは間違いない。
文=小林光男 写真=榎本郁也