今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。おかげ様で、まもなく通算3500号を迎える。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 特別読み物『親父の胸中は息子が知っている』
今回は『1960年2月3日号』。定価は30円だ。巻頭グラビアは『ゴールデンボーイの誓い』。
巨人・
長嶋茂雄が地元千葉の成田山に護摩たきに訪れた際のもの。常に少年ファンが取り囲み、すさまじい人気がうかがえる。後ろグラビアは『サイちゃんスピード結婚』。西鉄の
稲尾和久は、さすがにプライベートも“速い”。見合いから婚約まで、わずか20日間だったそうだ。
巻頭特集は『実力の世界の学歴争い~対立するプロ野球の大学出と高校出』。巨人はこの差がかなり激しいらしく、移動の際、大学出の新人・長嶋茂雄が二等車なのに、すでにレギュラーだった5年目の
藤尾茂は高卒もあって三等車。藤尾は烈火のごとく怒り、「俺の息子は何が何でも大学を卒業させる。この悔しさは忘れない」と言ったという。逆に高卒の妬みでつぶれた大卒選手の話もなども載っている。
対談は『エースの一騎打ち』。南海・
杉浦忠、巨人・
藤田元司の登場だ。藤田は肩、杉浦はヒジの痛みについて語り合っている。59年は杉浦が69試合、371回3分の1に投げ、38勝4敗、日本シリーズ前に肩痛で離脱もあった藤田が55試合、330回に投げ、27勝11敗……確かに大変だ。
『新装12球団の戦力検討』では野球評論家・
児玉利一、竹中半平、
南村侑広が全チームの戦力分析。それによればパの優勝候補は大毎、対抗は南海でダークホースは東映、セは巨人、中日、
阪神の順だった。3人が口をそろえたのが「王をもっと使え」。竹中は
「王が伸びるまで我慢できるかできないかだ。巨人に入ったらみんなそうだよ。若い連中で、もう少し使えば芽が出るやつを我慢できないで、ほかのやつに代えるんだよ。これの繰り返しだから、だれも平均して伸びないんだ」
なお、この時代、二軍のリーグ戦はなく、セでは二軍選手のコンプレックスをなくすため、「二軍」という言い方自体をなくそうという話になっていたらしい。
特別読み物では『親父の胸中は息子が知っている』。登場するのは大洋・
三原脩監督の次男。帝国ホテルで西洋料理の修行中だった。兄は天ぷら屋で日本料理を学び、これらは三原監督がいずれはホテル経営に乗り出したいという意向があったためという。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM