ブルペンで模索し続けるオリックス・若月健矢

投手がモーションに入るとヒジを曲げ、ミットを後ろに動かすようにリズムを取る若月。捕球面は投手に向けたままだ
投手が投げやすい捕球姿勢は何なのか。その答えを求め、模索し続けるのが
オリックスの捕手・
若月健矢だ。
ズラリと並ぶ投手陣。オリックスのキャンプ地・宮崎市にあるSOKKENスタジアムに隣接するベルペンは、一、二軍が共用し、一度に最大10人が投球できるとあって、投手陣にファンの姿勢が集まる。だが、ここで鍛錬を積むのは、何も投手ばかりではない。“捕手”に目を向けると、キャッチングの意識も垣間見え、それぞれの特徴も見えてくる。
ミットの捕球面を意識して捕手たちを見てみると、どの選手も投手のモーションに合わせ、リズムを取るように一度、捕球面を下に向けている。そんな中で、ヒジを曲げるようにリズムを取り、常に捕球面を投手に向けていたのが若月だった。聞けば
谷繁元信(元
中日ほか)に指導を受けたという。
「昨年のキャンプに来ていただいて。僕の捕球姿勢、キャッチングを見て、教えていただいたんです。確かに(捕球)面を向けたままのほうが投手は的ができる。そこから意識するようになりました」
投手からも意見を求め、指摘されれば改善を繰り返す22歳。今キャンプでは「ビデオで自分の姿を録画してチェックしています」というほど熱を入れている。
打者を封じれば称賛される投手。だが、好投を助演しているのは、言うまでもなく捕手である。投球はバッテリーの共同作業だからこそ、捕手たちの努力も見逃してはいけない。ブルペンで捕手に着目してみれば、そこにもプロの意識と技が隠れている。
文・写真=鶴田成秀