第90回記念選抜高校野球大会が3月23日、阪神甲子園球場で開幕した。球児による13日間(準々決勝翌日の休養日1日を含む)の熱戦が繰り広げられるが、現場でしか分からない「センバツリポート」をお届けしていく。 好きなプロ野球選手は中田翔

智弁学園高・藤村は公式戦初出場が四番の大役。勝ち越し打を含む2安打1打点と大器の予感をさせる活躍を見せた
甲子園の大舞台で公式戦初出場。しかも、四番。智弁学園高の2年生・
藤村健太は小坂将商監督の抜てきに見事、こたえて見せた。
同校を選んだのは、2016年春にセンバツで初優勝を見て、あこがれを持ったからだ。「甲子園で本塁打を打ちたい。甲子園に行ける学校」と、智弁学園高の門をたたいている。
1年秋からベンチ入りしたが、公式戦での出場機会はなかった。とはいえ、練習試合では打率.344、2本塁打、17打点。182センチ94キロと恵まれた体格からの長打力に周囲の期待も大きかった。日大山形高とのセンバツ初戦で先発を言い渡されたが、その理由を自身で分析してくれた。人柄がにじみ出てくるコメントである。
「近畿大会でベンチ入りして、メンバーのサポートを全力でやったことが評価されたのではないでしょうか」
初回、一死三塁の先制機では遊飛に倒れた。第2打席の初球に甲子園初安打(左前打)を記録すると「緊張していましたが、それで、だいぶ落ち着いた」。1点を追う6回裏、同点に追いついた後、一死二塁からの藤村の左二塁打が勝ち越し打となった。
「自分で決めようと思って、打席に入った。とにかく自分を信じて思い切って振っていきました」
智弁学園高の四番と言えば、入団4年目の
巨人・
岡本和真がオープン戦で絶好調をキープし、今シーズンに飛躍しそうな予感が漂っている。藤村も「岡本さんというすごい先輩が四番を打っていたので、自分も負けないように頑張ります。少し、プレッシャーはありますけど……」と、17歳はおどけて見せた。
センバツ個人アンケートには「好きなプロ野球選手」として、
日本ハム・
中田翔の名前も挙げている。チームは5対3で初戦突破。3回戦以降も、スケール感たっぷりの2年生スラッガー・藤村のバットから目が離せない。
文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎