5時間ジャストの激戦の末に
楽天との開幕戦(ZOZOマリン)を落とした
ロッテが、第2戦で鮮やかにリベンジを果たした。しかも、理想的な展開で。一番・
荻野貴司が初球を左前打、直後に初球盗塁、オープニングから2球で無死二塁のチャンスをつくり、二番・
藤岡裕大の進塁打、三番・
中村奨吾の二ゴロで先制。足を絡めて得点機を演出する“井口野球”が鮮やかに体現された。
さらに中村に一発、四番・
井上晴哉に2打席連続弾が飛び出すなど、不安視された長打力不足にも解消の希望が見えた。これ以上ない形で指揮官としての初勝利を手にした
井口資仁監督は、「しっかり走れた。これを1年間、続けていきたい」と確かな手応えをつかんでいた。
とはいえ“走塁改革”を掲げた井口ロッテにとって、足を使って得点をもぎ取る形が実践されるのは“想定内”であるはずだ。その意味で“うれしい誤算”になったのが先発のマイク・ボルシンガーだった。
オープン戦ではあっぷあっぷの投球が続き、最終調整となった3月24日の
中日戦(ナゴヤドーム)では4回8失点の大乱調。先発ローテの中ではもっとも不安視されていたのがこの男だった。事実、首脳陣もボルシンガーが崩れた場合に備えて
西野勇士をスタンバイさせ、井口監督も試合前には「後ろに西野がかまえているので、崩れたらすぐいきます」と語っていた。
それがフタを開けてみれば6回2/3を投げて4安打1失点。自慢の
ナックルカーブを丁ねいに低めに集めてゴロの山を築き、「カーブをしっかりコントロールできたことでほかの球種も生きた」と自賛する投球を披露してみせた。
今季の先発ローテは開幕戦で7回無失点に抑えたエース・
涌井秀章に復活気配の
石川歩、次期エース候補の
二木康太に
酒居知史の4枚までは計算が立つ。同時に6番手は
唐川侑己に西野、
佐々木千隼に
チェン・グァンユウが争うハイレベルな陣容だ。
つまり、5番手が定まれば先発ローテは盤石――という中でのボルシンガーの快投。期待値が低かっただけに、チームにとっての+アルファの効果は大きい。2018年版ロッテの最大のストロングポイントは“足”以上に“先発陣”。そんな期待を抱かせるボルシンガーの見事なゲームメークだった。
文=杉浦多夢 写真=高塩 隆