
3月31日の開幕第2戦での巨人復帰登板から4試合連続無失点の上原浩治だったが、4月10日のDeNA戦で敗戦投手に
思わず天を仰いだ。
4月10日のDeNA戦(東京ドーム)の8回、2対1と1点リード(直前に
長野久義の2点本塁打で逆転)の8回から2番手で登板した巨人の上原浩治だったが、一死一塁からロペス、
宮崎敏郎、
乙坂智、
嶺井博希に4連打を浴び、一気に3点を失って逆転を許した。
開幕第2戦(対
阪神、東京ドーム)で日本のマウンドに復帰してから4試合を無失点に抑えいずれも勝利に貢献していたが、5試合目で初失点。これでチームは逆転負けで4連敗となり、試合後「申し訳ないという思いが強いです」と敗戦の責任を一人で背負い込んだ。とはいえ、「そういう役割(勝ちパターン)の中で投げてもらっているけど、全員が1年間、完全ではないのでね。こういう日もある」とかばった
高橋由伸監督の言うとおりだろう。
4月6日の
ヤクルト戦3連敗中は出番がなく、5日の
中日戦(ナゴヤドーム)以来のマウンドと登板間隔が空いたのも少なからず影響した。上原本人はまだ自身のこれまでの投球に納得していない。例えば、メジャーに対して柔らかい土を使用する日本のマウンドへの対応もそうだ。
同じくメジャーでプレー後、日本に復帰した経験のある
藪恵壹氏(元阪神、アスレチックス、ジャイアンツ、
楽天)も「いま、日本の打者が苦しめられているトップが早く、投げるまでのタイミングが早い上原選手のフォームは、メジャーの固いマウンドに対応するために身に付けたもの。9年間もメジャーの環境でプレーしていますから、頭では分かっていても、そう簡単に日本のマウンドに対応できるものでもありません。慣れるまでは悩まされることもあるでしょう」と解説している。
実際、オープン戦期間中には制球が不安定だったこともあり、メジャー移籍前の投球映像をチェックしてフォームを確認するとともに、日本のマウンドに合わせ、左足の踏み出し幅も半歩狭めるなど、現在も試行錯誤を重ねている。そのような状況下での4戦連続無失点ホールドだったわけだ。
昨季のBクラス転落からのV奪回への救世主と期待される上原の救援失敗は、ファンにとってはショックに違いない。しかし、本領発揮はこれから。メジャー通算436試合登板(22勝26敗95セーブ81ホールド)のキャリアを誇る右腕のリアクションを注視したい。
文=坂本 匠 写真=BBM