
試合後、田中の頭をなでるのは野村監督
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は4月18日だ。
今年も開幕から初々しきルーキーの活躍が目立つが、高卒組はやや苦戦している印象がある。ただ、まだ18、19歳なのだから当然と言えば、当然。焦らず、じっくり大きくなってほしい。
2007年4月18日は、現ヤンキース、当時
楽天の高卒新人・
田中将大が初勝利を完投で飾った日だ。ここまでは決して順風満帆ではなく、開幕から先発起用ながら1試合目は2回途中6失点KO。ベンチに戻って涙を流した。その後、2試合も勝ち星なしで、この日の
ソフトバンク戦(フルキャスト)は防御率6.14で迎えた4試合目のマウンドだった。
ただ、この日は今までと違った。初回、1点を失い、なおも無死満塁のピンチ。それまでの田中ならボコボコにされていたかもしれないが、まず
小久保裕紀をストレートで空振り三振。7球目はプロ自己最速タイの149キロが出た。続く
大村直之もストレートで空振り三振、ブキャナンにはタテのスライダーで見送り三振と圧巻のピッチングを見せる。
絶体絶命のピンチを脱した田中は2失点完投でプロ初勝利。140球、13Kの力投だった。ドラフト後、4月に完投勝利を飾った高卒新人は田中で4人目。また高卒新人が13奪三振以上をマークしたのは、1999年の
松坂大輔(
西武)以来となる。これには楽天・
野村克也監督も「ケチのつけようがない勝利」と手放しの称賛を送った。
さらに、試合後の田中のコメントにも大物感が漂う。
「変に聞こえるかもしれないけど、相手を見下ろして投げられるようになった。余裕を持てるようになりました」
プロ4試合目を終えたばかりの18歳とは思えない。田中は、最終的に11勝7敗で新人王となっている。
写真=BBM