長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。 久々のお立ち台で

お立ち台で堂々たる歌いっぷり
ヤクルト時代は
池山隆寛とともに“イケトラ・コンビ”と言われ、豪快なバッティングと明るい性格で人気者だった
広澤克実。しかし、1995年にFAで移籍した
巨人では、巨大戦力の中で徐々に存在感が薄れ、99年には、わずか16試合の出場に終わった。
ここで声をかけてくれたのが、
阪神の
野村克也監督、ヤクルト時代の恩師でもある。「チームを明るくしてくれ」と言われ、2000年に移籍した。
しかし、やはり出番が増えず、二軍生活が長くなったなかで、久々に一軍のお立ち台に上がった際、「次にお立ち台に上がったら『六甲おろし』を歌います」と宣言。01年8月29日、巨人・
高橋尚成からソロ本塁打を放ち、お立ち台に上がると、宣言どおりに『六甲おろし』を高らかに歌い上げた。
野村監督はこの年限りで退任。翌年からは明大の先輩・
星野仙一監督の下、広澤は代打の切り札として活躍した。
写真=BBM