
4月20日の甲子園での阪神戦で藤浪晋太郎から先制タイムリーを放つ巨人の小林誠司。翌日の同カードでもタイムリーを放ち、対阪神4連勝に貢献した
4月21日時点で19試合出場、打率.383、1本塁打、8打点。この打撃成績から誰を連想しますか?
答えは巨人の小林誠司。規定打席に2打席届いていないものの、仮にこの2打席が凡打であったとしても、.367は同日時点でセ・リーグ1位の
中日・
アルモンテ(.380)に次ぐ2位となる好成績だ。
巨人では打線の話題は開幕から二番に座り続ける
吉川尚輝と、快打を連発して開幕時の六番から五番に打順を上げた
岡本和真の2人の期待の若手が二分してきた。しかし、同日時点で順位は4位ながら、セ・リーグ1位のチーム打率(.264)の要因の1つに、小林の存在があることを忘れてはならない。
例えば、4月20日の阪神戦(甲子園)では、2回無死一、二塁の好機に打席に立つと、阪神先発・藤浪晋太郎から一、二塁間を破る先制のタイムリー(8対2で快勝)。続く翌日の同カードでも4回に2点を先制してなおも二死一、三塁で左前適時打。打席での立ち姿、自信に充ちた表情は昨季までとは別人で、2年連続セ・リーグ打率最下位男(2016年=.204、2017年=.206)が、いま、恐怖の八番打者になろうとしている。
自信の根拠は昨秋から今春にかけてのトレーニングにある。特に昨秋のキャンプ、練習では扇の要であるにもかかわらず、練習の比重を打撃8、守備2にし、打ちっぱなしの時間を過ごした。オフも、今春キャンプでも変わらずに振り込んだ結果がいま、数字になって表れている、と考えるのは早計だろうか。
キャンプ時点では打撃面の弱さを指摘され、ポジションは白紙状態。打に秀でる新人の
大城卓三、
河野元貴、
宇佐見真吾らが対抗馬とされ、ポジション争いに注目が集まっていたが、打撃面でマイナスがないのなら、2017年のWBCで侍ジャパンの正捕手も務めたキャリア豊富な小林を外す必要はない。開幕から4月8日までの間、3試合で大城が先発出場したが、以降は小林が先発マスクをかぶり続けているのも、そうしたベンチの判断だろう。
良いキャッチャーの条件は「試合に勝つこと。チームを勝たせられること」と答える小林だが、「そのためにも打つことです。打たないと使ってもらえない」との危機感を持って今季に臨む。ここまでは、「1本……では足りないけど(笑)、昨季よりも多く打って、打つほうでも勝利に貢献したい」という言葉どおりのパフォーマンスを見せる。このままの状態でシーズンを過ごせば、年間135安打ペース(もちろん、キャリアハイ)。攻守にチームを救う存在となるかもしれない。
文=坂本 匠 写真=BBM