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中日不動のショートとなっている京田
プロ2年目にして中日の「二番・遊撃」に定着している
京田陽太。新人王に輝いた昨季は主にトップバッターを務めたが、今季は新たな役割を果たそうと試行錯誤する毎日だ。
プロ入り前は「守備・走塁は即戦力も、打力は……」という声が大きかった京田だが、ルーキーイヤーにセ・リーグの新人歴代2位となる149安打を放ち、対応力の高さを示した。慣れない二番も経験を糧に、徐々にフィットしていってくれるはずだ。
周囲を驚かすスピードで成長する京田だが、それはアマチュア時代も同様だった。今からさかのぼること8年前。青森山田高に入学したころの京田のエピソードを教えてくれたのは、当時に同校の部長を務め、現在は日本ウェルネス高野球部総監督の五十嵐康朗さんだ。
京田が入学する直前の2009年まで、青森山田高は夏の青森大会6連覇を果たし、全国屈指の強豪校として名を馳せていた。石川県の寺井中に通っていた京田も、「甲子園に出たかった」ことが決め手となり、同校への進学を選んでいる。
「甲子園に連れていってくれるんだ」「すごい指導者がいるんだ」。期待に目を輝かせて入部する選手も多い中、京田はひと味違っていたと、五十嵐さんは振り返る。
「『違うものは違う』『分からないものは分からない』。何かを教えても、分からないところがあれば素直に首をかしげていましたね」
指導を鵜呑みにするのではなく、自分の中で消化し、理解しようとする。その過程で疑問に思うことがあれば、臆することなく疑問を口にした。
「当時は部長という立場で、『ああせい。こうせい』でしたが、今、青森山田を離れ、指導者としてゼロから、学生に自分で動きながら教えてみると、あのとき彼が首をかしげていた理由が分かるんですよ。『そういえばこの教え方じゃ相手は分からないな』『これは間違っていたな』。そんなことに、ここ数年で多く出合います」と五十嵐さん。どん欲に、技術や知識を吸収しようとするからこその反応なのだ。
自らのプレーと向かい合い、真摯に成長を求める京田。2年目の今季もその姿勢を貫き、さらに飛躍してくれるだろう。
文=吉見淳司 写真=BBM