今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 『シビれた杉浦の右腕』
今回は『1961年9月25日号』。定価は30円だ。ペナントレースは混とん。セは
巨人、
中日、パは東映、南海、さらには西鉄も加わっての激しい優勝争いとなっていた。
こうなると
川上哲治監督の巨人と、前巨人監督で東映監督となった水原茂の対決なるかに世間の注目は集まる。特に盛り上がっていたのは、初優勝を狙う東映だ。水原監督自身は「どうもうちはぼんやりしてな……」と話しているが、選手はやる気満々。エースの
土橋正幸はVの可能性を聞こうとした記者に先回りし、「トヨペット・クラウンは俺はもらうぜ。この腕でな」とニヤリ。クラウンは日本シリーズMVPの賞品だ。
追う南海には暗雲も。『シビれた杉浦の右腕』という記事では、9月6日、8月から右腕に疲労を訴えていた南海・
杉浦忠が「動脈閉そく軽度」の診断を受け休場すると球団から発表があったと書かれている。ただ、おそるべきことにこの時点で杉浦は20勝9敗。すごい、というすさまじいというか。この連載の担当者は、生前の杉浦にこの件を聞いたことがあるが、本人は投げ過ぎではなく、マッサージによるものらしいと話していた。
巨人には秘密兵器が加わった。関大を中退し、9月頭に契約した
村瀬広基だ。すぐ先発ローテにも加わった。『12球団週間報告』では村瀬の初登板の記事があったが、タイトルは「おそかりし村瀬の登録」。8月31日までに登録が終わっていなかったので、規則により巨人が優勝しても日本シリーズには出場できないということだ。
対する中日は9月10日の国鉄戦で、ついに新人・
権藤博が30勝。前年の
堀本律雄29勝を抜き、セの新人最多記録となった。
ほか、この号は9月7日の巨人-国鉄戦(後楽園)に多くのページを割いている。走塁妨害とオーバーランの2つをめぐり、1時間52分の長時間の中断があり、午前0時11分に終了した試合だ。観客が騒ぎ、機動隊が出動する大騒ぎとなった。
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では、またあした
<次回に続く>
写真=BBM