
4月21日、東京六大学リーグ戦(東大-明大1回戦)で明大OB・星野仙一氏の「追悼セレモニー」が行われた
約1週間前になるが、星野仙一氏の「追悼セレモニー」は、心に残る約7分だった。
4月21日。星野氏が4年間プレーした明大の開幕戦となった東大1回戦前に、神宮球場で行われた。プロ野球でも、生前ゆかりのあった倉敷、ナゴヤドーム、甲子園、
楽天生命パークの各スタジアムで星野氏をしのぶ「追悼試合」が執り行われている。
プロ・アマ球界において影響力の大きかった星野氏だが、東京六大学リーグ戦で同セレモニーが実施されたのは初めてのことだった。
1月4日、あまりに突然の訃報だった。明大野球部、明大OB会(駿台倶楽部)からの申し入れを受け、同連盟内で協議された。検討された結果、今回の星野氏をきっかけとして、今後も球界に尽力した東京六大学野球のOBに対して、追悼セレモニーを永続的に行うことが決まった。
ただし、ここには「条件」が必要となり原則、「野球殿堂入り表彰者」が設定された。
セレモニーは粛々と進む。場内アナウンスで星野氏の紹介、そして、明大、プロ現役、監督時代のありし日の映像が流れた際には思わず、目頭が熱くなってしまった。スタンドでも、目に手を当てている観衆がいた。映像が終わると、自然発生的に起きたスタンドからの拍手は、何とも言えないムード。星野氏への「感謝」が込められていたのは間違いない。
最後に30秒の黙とう。試合前後にしか使われることのない、サイレンが鳴った。夏の甲子園では終戦記念日である8月15日の正午に黙とうを捧げるが、今回も心に染み入るシーンだった。
今回、一つだけ残念だったのは、事前に予想していたよりも観客の数が少なかったことだ。この試合の観衆は連盟発表で8000人だったが、セレモニーの時点ではまだ、そこまで埋まっていなかった。多くのメッセージ性が込められていた約7分間だっただけに、もっと、多くの野球ファンに触れてほしかった。
文=岡本朋祐 写真=矢野寿明