
記念のボールを手に笑顔
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は4月29日だ。
ダメ虎時代真っ只中の1997年の話だ。4月15日からの6連敗で定位置の最下位に座った
阪神だったが、そこから4位に浮上して挑んだ4月29日の
巨人戦(東京ドーム)でチームリーダー、
和田豊が快記録を達成する。
初回、一番打者の和田は巨人先発の
ガルベスから右中間への二塁打。レインズ(阪急)が1954年に樹立した開幕から20試合連続安打を破り、21試合連続の日本新記録を達成した。チームも6対4と勝利。3位となった。
「意識はしてなかったはずなんだけど、打席に入ったら開幕戦の第1打席のようなプレッシャーがあった。打ててほっとしたよ」と和田。球場に呼んだ両親も大喜びだった。
吉田義男監督は「よくやってくれている。素晴らしい記録を作ってくれました」と大絶賛。ただ、思い起こせば、この指揮官自身がキャンプ前は和田に引導を渡しかけていた。「守れない内野手はいらない」と言い、セカンドから和田を外し、ドラフト1位の大型新人の
今岡誠を起用するとほのめかしていた。
ここでくさってしまえば、そこまでだが、和田は黙々と努力を続け、セカンドを勝ち取り、この年は開幕から内野陣をまとめていた。
おとなしいタイプで、常にフォア・ザ・チームに徹する和田は、逆に言えば、花のない地味なタイプ。「ふだんは試合に負けたときだけ記者が寄ってくる」と苦笑していたプロ13年目のベテランは「プロ入りしてから、いまが一番注目されているかもしれないですね」と照れた。
記録は24試合まで延びている。
写真=BBM