
内川は5月1日のロッテ戦で通算1996安打目となる今季2号を放ち、翌日の同カードでもさらに2安打を重ねた
2000安打へのカウントダウンボードの数字がついに「2」となった。
残り「6」で5月を迎えると一気にスパート態勢に入り、前日の2安打に続き5月2日のロッテ戦(ZOZOマリン)でも2安打を重ねた。残り「25」で迎えた2018年シーズン。ここまでたどり着くのに1カ月を要してしまったのは希代のバットマンにすれば想定外なのかもしれないが、ついに火のついた
内川聖一をもってすれば本拠地ヤフオクドームへ戻ることなく、5月3日にあっさりと千葉の地で“通過点”をクリアしてしまうかもしれない。
そう、内川にとっては“通過点”なのだ。次なる2500、3000という数字に向けた通過点ではない。2年連続日本一という最大目標にしっかりと向き合うための通過点だ。「個人のことは早く終わらせてチームの優勝、日本一に集中したい」。昨オフにはそう話していた。
シーズンの開幕前、話を聞く機会があった。今年で80周年を迎えるホークスにあって、現キャプテンとしてホークスでの7年間を振り返ってもらいながら、チームとしての強さの源泉をあぶり出すインタビューだった。
インタビューが終盤になり18年シーズンのことへ話題が移れば、2000安打についても聞かなくてはならない。「個人のことは早く終わらせて」というのはやはり、キャプテンとしての責任感や思いがこもったものだったのか、と。
「当然、2000本というのはすごい数字だとは思ってますんで。達成したときに自分がどういう気持ちになるのかなっていうのは、楽しみにしているところは正直ありますけど」
そう口にした。キャプテンという重責を担い、ときにナーバスになりながらもチームを冷静に見渡し、打席に立てば四番としての役割をきっちりと果たす。常に自分を律しながら前へ進んできたホークスのキャプテンだが、さすがに「2000」へ到達したときに自分の中でどんな感情が渦巻くのかまでは想像ができない。そして、それが楽しみでもある。
2000本目の安打を放ったとき、内川の心にどんな感情が去来するのか。この数日中、いや、もしかしたら数時間後にはその瞬間が訪れるのだろうが、見ているこちらもその胸の内を聞くのが今から楽しみになる。
が、やはり最後はキャプテンとしての言葉が続いたことはお伝えしておこう。
「それ(2000安打)が終わってしまえばもう全然(笑)、僕の中では通過したものになってしまいますので。たいしたことじゃないというと失礼なんでしょうけれども。また次の目標が待っているので。その瞬間からチームの日本一に向かって頑張らなければいけないと思うだろう、とは思っています(笑)」
文=杉浦多夢 写真=桜井ひとし