プロ野球の歴史を彩った伝説のプレーヤーの打撃フォーム、投球フォームを連続写真とともに紹介。今回は“振り子打法”を駆使したオリックス時代のイチローだ。 批判を結果ではねのけた

オリックス・イチロー
世界最高のヒットメーカー。「空前絶後」というのは、この男のためにある言葉かもしれない。写真は、鮮やかなブレークを果たした1994年だ。
右足を上げ、ぶらぶらと揺らすため“振り子打法”と言われ、同年、当時のシーズン最多210安打をマークし、打率.385で首位打者にもなっている。以後、7年連続でタイトルを守り続け、2001年にはマリナーズへ。ここでも1年目に首位打者を手にした。
振り子打法は当時、「基本と違う。すぐ打てなくなる」「単なる走り打ち」と批判もあったが、結果でそれをはねのけた。
右足を踏み出したときに一瞬間があり、そこでタイミングの調整ができ、さらに踏み出した前足を軸に移しても、やや後ろに残してもしっかりスイングできたのが強み。これだけ動いてもミートできたことは、動体視力の良さも物語っている。
振り子だけではなく、打席に入る前の独特のストレッチや、バットを立てて突きだすようなルーティンも話題になった。
その後、振り子はやめ、徐々にフォームを変えていった。メジャー挑戦を意識し、速い球、手元で動く球への対応を意識したと言われている。
●イチロー(すずき・いちろう)
1973年10月22日生まれ。愛知県出身。右投左打。愛工大名電高から1992年ドラフト4位でオリックス入団。2001年ポスティングでマリナーズへ。12年シーズン途中で
ヤンキースへ。15年からマーリンズ、今季はマリナーズへ復帰もベンチ入りメンバーを外れ、会長付特別補佐に就任することになった。[NPBでの主なタイトル]MVP3回、首位打者7回、打点王1回、盗塁王1回。[NPB通算成績]951試合、1278安打、118本塁打、529打点、199盗塁、打率.353。
写真=BBM