プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 メジャーのエースとクローザーも
監督として2016年から
広島を連覇に導いた
緒方孝市と、広島時代はチームメートで、移籍した
阪神でも連続試合出場記録を継続、その16年から阪神の監督を務める
金本知憲は、ともに1968年に生まれた同世代。ベストナインでも、ともに外野陣を形成する。
ちなみに、同じ外野で読みも同じの
緒方耕一(
巨人)も同い年で、90年と93年のセ・リーグ盗塁王。緒方孝市も95年から3年連続でセ・リーグ盗塁王となっていて、ともに韋駄天というところも共通している。
ただ、世代の顔と言えば、高校時代は無名ながら、社会人を経てドラフトで史上最多の8球団が競合した野茂英雄だろう。わずか5年で海を渡り、メジャーでも“トルネード旋風”を巻き起こして、日本人メジャーリーガーの先鞭となった功績も大きい。
【1968年生まれのベストナイン】(1968年4月2日〜69年4月1日生まれ)
投手 野茂英雄(近鉄)
捕手
矢野燿大(阪神ほか)
一塁手
山崎武司(
中日ほか)
二塁手
土橋勝征(
ヤクルト)
三塁手
水口栄二(近鉄ほか)
遊撃手
奈良原浩(
西武ほか)
外野手 金本知憲(阪神ほか)
緒方孝市(広島)
飯田哲也(ヤクルトほか)
指名打者
タフィ・ローズ(近鉄ほか)
1年目から4年連続で最多勝に輝いた野茂を日本通算勝利で上回るのが
下柳剛(阪神ほか)。左の鉄腕が野茂と左右両輪となる。先発陣は強心臓右腕の
西村龍次(ヤクルトほか)や藪恵市(恵壹。阪神ほか)に“ギャオス”
内藤尚行(ヤクルトほか)、左腕では初登板ノーヒッターの
近藤真一(真市)らが同世代で、タイプも多彩だ。
救援でも期待できるのが
潮崎哲也(西武)で、シンカーを駆使して黄金時代を支えたリリーバー。セットアッパーでは“炎の中継ぎ”
藤井将雄(ダイエー)、クローザーでは
成本年秀(
ロッテほか)もいるが、“絶対的守護神”として君臨するのは、やはりメジャーでも活躍した
高津臣吾(ヤクルト)。日本通算286セーブは歴代2位だ。
この投手王国をリードする司令塔には金本の率いる阪神で18年から二軍監督を務める矢野燿大(輝弘)を据えたが、実働29年でプロ野球記録に並び、同じく18年からコーチとして現場に復帰した
中嶋聡(
日本ハムほか)もいて、バッテリーは盤石だ。
攻守走にハイレベルで抜群のバランス
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阪神・金本知憲
クリーンアップは金本と指名打者のローズ、一塁にいる山崎武司で、それぞれ通算400本塁打を超える強打者だ。ローズが中軸を担った“いてまえ打線”で貴重なつなぎ役となったのが水口栄二。二遊間で広い守備範囲を誇った名手だが、その二遊間には土橋勝征、奈良原浩らを据え、水口は不在の三塁を埋めることに。土橋や奈良原も三塁は経験しており、状況に応じた配置転換も可能だ。
現役監督2人がいる外野の要となるのは92年セ・リーグ盗塁王の飯田哲也。捕手から二塁手を経て外野手となり、広い守備範囲と強肩で歴代屈指との呼び声も高い名手だ。控えに回ったが、やはり捕手出身の外野手では
関川浩一(中日ほか)もいる。左打者は金本とローズのみという打線の弱点を補って余りある闘志の左打者だ。山崎も捕手出身で、飯田と93年に捕手として守備率10割をマークした関川も捕手として計算すれば、バッテリーの重厚さは歴代屈指と言えるだろう。
野手陣も破壊力、機動力に堅守と攻守走にスキなし。バランスも抜群で、世代対抗戦では間違いなく優勝候補に挙がってきそうだ。
写真=BBM