
4月の月間MVPにも選ばれた
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は5月10日だ。
これまで、さまざまな新外国人選手がド派手なデビューを飾り、日本球界に大きな衝撃をもたらしてきた。ホームラン量産なら古くは87年の
ヤクルトのホーナーだろう。「このペースで行ったらシーズン60本塁打以上!」の見出しが、スポーツ新聞に躍り、「ホーナー旋風」とも言われた。
2001年、
西武の
アレックス・カブレラもすさまじかった。超筋肉質で、ぶっとい腕。ムチャクチャ速いスイングスピードから火の出るような当たりを連発。わずか38試合で20本塁打。これは68年に
長嶋茂雄(
巨人)が記録した42試合より4試合早い、当時の20号本塁打のプロ野球最速記録だった。
しかもカブレラの場合、本数だけではなく、打球そのものがとんでもなかった。5月10日、近鉄戦(西武ドーム)で放った20本目もすさまじい。
2回裏、エルビラの速球が
シュート回転して外角高めに入ってきたところをたたくと、打球は低いライナーでセンター方向へ。センターの
大村直之の頭上を越えるあたりでも、まだ10メートルくらいの高さだ。そして打球はそのままフェンスを越え、ワンバウンドでバックスクリーンに当たった。だれも見たことがないような低い弾道の中越えホームランだった。さらに3回には左中間に21号と止まらない。
前年はAA級で5月に21本塁打をマークしたというカブレラ。30本塁打にも64試合目に到達し、これは60本塁打に行くか、と思ったが、最終的には49本塁打。ただし、この年のホームラン王はならず。キングは近鉄・ローズ、日本タイ記録の55本塁打だった。
写真=BBM