プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 メジャー挑戦者が急増
メジャー・リーグで長くリリーフとして活躍、レッドソックスのクローザーとして2013年には胴上げ投手にもなり、迎えた18年、古巣の巨人へ復帰した上原浩治がいる1975年に生まれた世代は、メジャーに挑戦する選手が一気に増えた。
特に投手が多く、全員がプロ野球に凱旋しているのも特徴的だ。こうしたスター選手が多い一方で、いぶし銀の名バイプレーヤーも充実している。
【1975年生まれのベストナイン】(1975年4月2日~76年4月1日生まれ)
投手 上原浩治(巨人)
捕手
倉義和(
広島)
一塁手
福浦和也(
ロッテ)
二塁手
金子誠(
日本ハム)
三塁手
松井稼頭央(
西武)
遊撃手
井端弘和(巨人ほか)
外野手
高橋由伸(巨人)
大村直之(
ソフトバンクほか)
福地寿樹(
ヤクルトほか)
指名打者
高須洋介(
楽天ほか)
現役を続けていることもあって上原をベストナインに据えたが、負けずとも劣らない好投手が
川上憲伸(
中日)。上原が新人王に輝いた前年の新人王で、2000年代の中日をエースとして引っ張った右腕だ。川上も09年にFAでブレーブスへ移籍、12年に古巣の中日へ復帰している。
右腕では、この世代でメジャー挑戦の先陣を切った
大家友和(横浜)にサイドスローの
建山義紀(日本ハムほか)、左腕では
高橋尚成(尚成。巨人ほか)やクローザーの
岡島秀樹(巨人ほか)もいて、メジャー経験者だけで先発三本柱を形成し、終盤までの継投策までもが可能だ。上原をクローザーで計算してもいいが、巨人1年目から20勝を挙げた先発として、川上と高橋尚との三本柱に夢がふくらむ。
先発もクローザーもこなせる右腕の
平井正史(
オリックスほか)もいて、リリーフ陣は充実。先発タイプでは右腕で2ケタ勝利7度の清水直之(ロッテほか)、“サンデー晋吾”こと
小野晋吾(ロッテ)らのロッテ勢もいる。司令塔は長く控えでチームを支えた倉義和。やはりメジャーから古巣へ復帰した
黒田博樹(広島)の“愛妻”だ。
西武のレジェンドと巨人の監督

西武・松井稼頭央
黒田と広島のチームメートで、西武を経て人的補償で移籍したヤクルトでプロ15年目に初タイトルとなる盗塁王に輝き、2年連続で戴冠したのが外野にいる福地寿樹(和広)。同じく俊足の外野手で、近鉄“いてまえ打線”の斬り込み隊長を務めたのが外野の大村直之だ。その近鉄時代のチームメートだった“必殺仕事人”高須洋介は、堅守の内野手がそろっていることから指名打者に回った。
不動の一塁手は“幕張の安打製造機”福浦和也。内野は遊撃に名選手が集中していて、ここでは遊撃守備で歴代屈指の1人でもある井端弘和を遊撃に。堅守を誇った遊撃手の金子誠は、同様に安定感のあった二塁に据えた。
たびたび西武の優勝に貢献してMVPも経験した強肩遊撃手で、世代で唯一、野手として海を渡ったのが松井稼頭央。メジャーで7年を過ごし、楽天を経て18年に復帰した西武でも外野手登録となっているが、ここでは楽天1年目に多く守った三塁へ回った。NPBの実績でも屈指で、世代の顔の1人だ。
メジャー経験はないが、スター性では負けていないのが巨人ひと筋の高橋由伸だ。打撃は天才と評されたが、果敢な外野守備で故障も多く、タイトルには届かなかった。16年からは監督として巨人ひと筋を貫いている。
バランスと重厚さを両立している布陣。職人タイプが多いのも心強い。大勝はしないが、簡単には負けないチームと言えるだろう。
写真=BBM