過去には「エンゼルスではプレーしたくない」と発言

エンゼルス・キンズラー
35歳のイアン・キンズラー二塁手はレンジャーズ、タイガースを経て今季からエンゼルス。昨季までメジャー13年間で1673試合に出場して1826安打、234本塁打、225盗塁。オールスター戦選出4度、一昨季はゴールドグラブ賞を受賞している。
昨年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)にアメリカ代表として出場し、優勝に貢献した。昨季は139試合に出場して打率.236、OPS(出塁率+長打率).725。ともにキャリア最低。今季は新天地での巻き返しが期待される。
――日本の野球にはいいイメージを抱いているとのこと。昨年3月にはWBCの準決勝で日本と対戦していますね。あなたは一番打者で出場し、1対1の8回表に一死一塁で千賀洸大(
ソフトバンク)投手から左中間二塁打で二、三塁とし、その後に
アダム・ジョーンズ(オリオールズ)の三ゴロで1点入り、それが決勝点になっています。
キンズラー 覚えているよ。雨の降った寒い夜だったね。2対1で勝つことができた。緊迫した素晴らしい試合だった。両チームの投手陣が好投した。日本の投手のレベルの高さは最初から分かっていたけれど、それにしても厳しい試合だった。あの準決勝を勝ち抜けたから、決勝でも勝てたと思うよ。
――昨年はWBCで優勝を経験してから開幕を迎えましたが、シーズンの成績は不本意だったのでは。
キンズラー 昨季は個人的にもチームとしても、厳しいシーズンだった(タイガースは67勝95敗でア・リーグ中地区最下位)。エンゼルスに移籍した今季は、開幕を楽しみにしていた。チームとしてはプレーオフが狙えると思うし、私個人としては一昨季までのような活躍をしたい。
――かつて「エンゼルスではプレーしたくない」と言っていたと思います。トレード拒否権もあったはずです。また、13年11月にレンジャーズからタイガースにトレードされた後には「レンジャーズは0勝162敗で終わればいい」と発言したとも報じられていました。
キンズラー 昔は若くて未熟だった。時間を経て、私も多くのことを学んできた。エンゼルスのことに関して言えば、レンジャーズに在籍していたころエンゼルスは強力なチームで、同地区のライバルだった。直接対決のときは緊張感あふれる雰囲気だったから、感情的になって言葉もつい強烈になってしまったと思う。今季は補強の様子から、エンゼルスは本気で勝とうとしているのだなという姿勢を感じて移って来た。
――昨季のエンゼルスは一番打者が固定できず8人が務めました。今季はあなたに一番での活躍が期待されています。
キンズラー 今季のエンゼルスには私のほかにもザック(コザート)や、もちろんショウヘイ(
大谷翔平)が加わって、チーム力がアップした。いい選手がたくさんいる。私もその中のひとりとして、エンゼルスのプレーオフ進出、さらにその先への力になりたいと思っているよ。
取材・構成=樋口浩一 写真=Getty Images