プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 左腕だけの先発ローテーションも可能
サッカー界では“黄金世代”と評される1979年に生まれた世代。物心がついたころに『キャプテン翼』の連載とアニメ放映が始まり、Jリーグの設立をリアルタイムで経験した世代でもあり、サッカーに人材が流れたからだろうか。
プロ野球界は、特に野手と右腕が人材難と言える。一方で、捕手の層は厚い。投手陣は先発タイプの左腕が多く、この世代の大きな特徴となっている。
【1979年生まれのベストナイン】(1979年4月2日~80年4月1日生まれ)
投手 石川雅規(ヤクルト)
捕手
石原慶幸(
広島)
一塁手
ホフパワー(
日本ハム)
二塁手
渡辺正人(
ロッテ)
三塁手
エクトル・ルナ(
中日ほか)
遊撃手
飯山裕志(日本ハム)
外野手
平野恵一(
オリックスほか)
浅井良(
阪神)
志田宗大(ヤクルト)
指名打者
田上秀則(
ソフトバンクほか)
エースには、通算勝利で世代トップの石川雅規を据えた。2002年に新人王、08年には最優秀防御率に輝き、長くヤクルトをエースとして支えている左腕だ。石川より遅れること3年、社会人を経てのプロ入りで、通算勝利で追いかけているのが、12年に奪三振王となった
能見篤史(阪神)。17年シーズン終了時点で通算98勝。あと2勝で大台にも到達する。ともにチームひと筋の左腕だ。
シーズン最多勝でトップを走るのが
井川慶(阪神ほか)だ。03年に20勝を挙げて最多勝、最優秀防御率にMVPにも輝いてリーグ優勝に貢献。メジャーを経てオリックスで日本球界に復帰した。石川と能見は17年シーズンには苦戦を強いられ、井川はNPB復帰を目指している。みな、キャリアは豊富だ。このまま終わるはずもないだろう。
変則フォームからパームボールを繰り出し4度の2ケタ勝利を挙げた
帆足和幸(
西武ほか)も同世代の左腕。“貴重な右腕”は助っ人のホールトン(ソフトバンクほか)。11年に19勝で最多勝、翌12年に
巨人へ移籍して外国人投手では3人目となる両リーグ2ケタ勝利を達成した。
リリーバーも右腕で、ヤクルト時代の04年に最優秀救援投手となった速球派の
五十嵐亮太(ソフトバンク)。セットアッパーに役割を変えたが、黄金時代の巨大戦力にあって、今も第一線で投げ続けている。
両リーグを代表するベテラン司令塔も

広島・石原慶幸
捕手は新たなる黄金時代を迎えつつある広島で不可欠な大ベテランとなった石原慶幸、パ・リーグを代表する頭脳派で、正捕手として西武とソフトバンクで優勝を経験、サイクル安打も達成している
細川亨(
楽天)、09年の26本塁打など強打が魅力の田上秀則で“捕手三本柱”。ここでは田上を指名打者に据えて、打線に厚みを加える。
一塁に2試合連続で満塁本塁打を放ったホフパワー、三塁には巧打者のルナがいて、田上とのクリーンアップになりそうだが、破壊力は物足りない印象だ。ただ、守備力は申し分ない。堅守で鳴らした飯山裕志が遊撃で内野の要となり、二遊間を組むのがスーパーサブの渡辺正人。外野の志田宗大も守備には定評がある。同じく外野の浅井良は捕手出身。やはり、捕手の多い世代と言えそうだ。
打線を引っ張るのは残る外野の平野恵一だ。この世代で通算1000安打に到達したのは平野と石原のみ。ガッツあふれる全力プレーが代名詞で、内外野をこなす守備力も武器だ。
打線が充実している世代が続いていたが、この世代は間違いなく“守り勝つ野球”。左腕たちと捕手の二枚看板が重責を担う。
写真=BBM